「SaaS is dead(SaaSは死んだ)」という過激な言葉が飛び交う背景には、AI(特に生成AI)がこれまでのSaaSのビジネスモデルの根幹を揺るがしていると言われていることがあります。
特定の機能をパッケージ化して提供しているサービスがAIにより作成されたツールに代替されてしまうことや、AIが仕事を代替することで使用する人が減ってしまい、ユーザ課金モデルでは収益が減少する可能性があること、さらに、使いやすいユーザインターフェースも自然言語ベースへと大きく変化することなどから、SaaSに大きなインパクトを与えることが懸念されています。
こうした変化により、SaaS企業の将来性に対する見方にも変化が生じ、一部では株価への影響も見られています。
しかし、生成AIは、日本のSIerにもっと大きな影響を与えるのではないかと私は考えています。
日本のIT・ソフトウェア産業は、IPAの整理でも、ユーザー企業が業務効率化のためにシステム開発を外注し、SIerは低リスク・長期安定の受託ビジネスを享受する構造を持ってきました。その結果として、IT人材のベンダー側への偏在、ユーザー企業のIT自律性低下、ベンダーロックイン、オーダーメイド型システムの乱発が生じており、日本では、SIerが各社独自システムを担うケースが多い状況があります。
さらに、IPAの「DX動向2025」 でも、日本はコア事業・競争領域においても外部委託が多い一方、米国では内製による自社開発が相対的に多いという差が示されています。加えて、日本のDXは「内向き」「部分最適」、つまりコスト削減や業務効率化に寄りがちで、米国やドイツのような価値創造・全体最適型と対照的だと整理されています。
従って、生成AIのインパクトは、SaaS以上に日本の既存SIモデルに直撃しやすいのではないでしょうか。日本のSIerを支えている人月型の個別開発で売上を積み上げるモデルは、生成AIによる実装工数の大幅な圧縮や、人月単価の低下によって、崩壊の危機に瀕しているように感じます。
それでは、日本のSIerは、生成AIに代替されにくいどの領域へ向かえば良いのでしょうか。
試しに生成AIに聞いてみたところ、「単なる請負実装ではなく、業界標準化、アーキテクチャ統制(セキュリティ含む)、データ基盤、AI組み込み、モダナイゼーション工場化に収益源を移さないと、売上は維持できても利益率が圧迫されやすくなります。」という回答が返ってきました。
このブログでは良く書いていますが、AIを支えるためのデータ管理基盤が今後の日本のITで重要になってくるというのは個人的には嬉しいですね。AIを支えているのがデータ基盤であることは間違いありません。
インサイトテクノロジーは、データベースを含むデータ基盤を支える移行や個人情報保護、データ連携といったサービスを提供しています。私は、我々が提供しているサービスが、SIerを含めた日本のITサービスを推進していけると確信しています。
参考資料
・IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「DX動向2025」
(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2025.html)
