
「KVMって最近よく聞くけど、実際どうなの?」「VMwareの代わりになるの?」——VMwareのライセンス高騰をきっかけに、こうした疑問を持つ方が増えています。
KVM(Kernel-based Virtual Machine)は、Linuxカーネルに組み込まれたオープンソースの仮想化技術です。ライセンス費用がかからないため、VMwareからの移行先として注目を集めています。中でも「Oracle Linux KVM」は、Oracleデータベースを運用している企業にとって、VMwareのコスト問題とOracleライセンスのコスト問題を同時に解決できる選択肢として関心が高まっています。
本記事では、Oracle Linux KVMの特徴やメリット、VMwareからの移行方法、移行を成功させるためのポイントを解説します。
この記事で分かること
- Oracle Linux KVMとは何か、なぜ注目されているのか
- VMwareと比較したOracle Linux KVMのメリット
- VMwareからOracle Linux KVMへの移行方法と成功のポイント
1. Oracle Linux KVMとは
KVMの概要
KVM(Kernel-based Virtual Machine)は、Linuxカーネルに標準搭載されている仮想化機能です。2007年にLinuxカーネルに統合されて以来、多くの企業やクラウドサービスで採用されてきました。AWS、Google Cloud、OpenStackなど、主要なクラウド基盤でもKVMが利用されています。
KVMはオープンソースのため、VMwareのようなハイパーバイザーのライセンス費用がかかりません。これが、VMwareのライセンス高騰を受けて移行先として注目される大きな理由です。
Oracle Linux KVMの位置づけ
Oracle Linux KVMは、Oracle社が提供するOracle Linux上で動作するKVM環境です。一般的なKVMと異なり、Oracle社による公式サポートを受けられる点が特徴です。
Oracle Linux自体は無償でダウンロード・利用でき、有償サポート契約を結ぶことで、エンタープライズレベルのサポートを受けることができます。Oracle製品との親和性が高く、Oracleデータベースを運用している環境では特にメリットが大きい選択肢です。
対応ゲストOS
Oracle Linux KVMでは、以下のようなゲストOSを動作させることができます。
- Windows Server(2012 R2、2016、2019、2022など)
- Oracle Linux
- Red Hat Enterprise Linux
- CentOS、その他Linux各種
VMware上で動作していた多くのワークロードは、Oracle Linux KVM上でも動作させることが可能です。

2. Oracle Linux KVMのメリット
Oracle Linux KVMには、VMwareと比較して以下のようなメリットがあります。
ハイパーバイザーのライセンス費用が不要
KVMはオープンソースのため、VMwareのようなハイパーバイザーのライセンス費用がかかりません。Broadcom買収後、VMwareのライセンス費用は大幅に高騰しており、多くの企業で1.5倍〜数倍のコスト増加が報告されています。KVMへの移行により、このライセンス費用をゼロにすることができます。
VMwareライセンス高騰の詳細については、「VMwareライセンス高騰の背景と、今検討すべき移行先の選択肢」で解説しています。
Hard Partitioning対応でOracleライセンスを限定可能
Oracle Linux KVMの大きな特徴は、Oracleのライセンスポリシーにおいて「Hard Partitioning」に対応している点です。
VMwareやHyper-Vなどの一般的な仮想化基盤は「Soft Partitioning」に分類され、仮想マシンに割り当てたコア数ではなく、複数の物理サーバーで構成される仮想サーバー環境では、仮想マシンが移動可能なすべての物理サーバーがライセンス課金の対象になります。企業内において仮想環境を利用し、シェアードサービスを提供している場合に、意図せぬ形で物理サーバが追加された場合などには、想定外の費用が発生してしまいます。一方、Oracle Linux KVMは「Hard Partitioning」に対応しているため、仮想マシンに割り当てたコア数のみをライセンス対象とすることができます。
例えば、24コアの物理サーバーで4コアの仮想マシンを動かす場合、VMwareでは24コア分のライセンスが必要ですが、Oracle Linux KVMでは4コア分で済みます。この違いは、Oracleライセンスコストに大きな差をもたらします。
Soft PartitioningとHard Partitioningの詳細については、「VMware上のOracleライセンスはなぜ高い?仮想化環境のコスト問題と対策」で詳しく解説しています。
旧バージョンOS・DBの延命が可能
Oracle Linux KVMでは、ベンダーサポートが終了した古いバージョンのOSやデータベースも、仮想化環境で継続して稼働させることができます。
レガシーシステムの移行には時間とコストがかかるため、すぐに最新環境へ移行できないケースは少なくありません。Oracle Linux KVMを活用することで、既存システムを延命しながら、段階的な移行を進めることが可能になります。
Oracle社による公式サポート
Oracle Linux KVMは、Oracle社による公式サポートを受けられます。これは、オープンソースのKVMを本番環境で採用する際の大きな安心材料となります。
Oracle Linuxのサポートプログラム「Oracle Linux Premier Support」に加入することで、以下のようなサポートを受けることができます。
- 24時間365日のテクニカルサポート
- セキュリティパッチ、バグ修正の提供
- Oracle製品(Database、Middleware等)との互換性保証
- Ksplice(再起動なしでカーネルパッチを適用できる機能)の利用
また、Oracle Linux KVMはOracle社の「Hardpartitioning」ポリシーで正式に認められた仮想化技術であるため、ライセンス監査においても安心して運用できます。
さらに、Oracle Linux KVMはOracle Exadata、Oracle Database Applianceなど、Oracle社のエンジニアドシステムでも採用されている実績があり、Oracle環境での信頼性が高い仮想化基盤といえます。
3. VMwareからOracle Linux KVMへの移行方法
VMwareからOracle Linux KVMへの移行は、一般的に以下の流れで進めます。
P2VとV2Vの違い
仮想化環境への移行方法には、大きく分けて2つのアプローチがあります。
- P2V(Physical to Virtual):物理サーバーから仮想環境への移行
- V2V(Virtual to Virtual):仮想環境から別の仮想環境への移行
VMwareからOracle Linux KVMへの移行は、主にV2V(仮想→仮想)の形式で行われます。VMware上の仮想マシンを変換し、KVM環境に移行します。
移行の流れ

1. 現状アセスメント
既存のVMware環境を棚卸しし、移行対象のワークロードを特定します。同時に、ライセンス影響調査を行い、移行後のコスト削減効果を試算します。
2. 設計
Oracle Linux KVM環境のハードウェア構成、ネットワーク設計、ストレージ設計を行います。移行計画を策定し、ダウンタイムの見積もりや切り戻し計画も準備します。
3. 構築
Oracle Linux KVM環境をセットアップし、検証環境での動作確認を行います。仮想マシンの変換ツールの準備や、ネットワーク・ストレージの接続確認もこの段階で実施します。
4. 移行
VMware上の仮想マシンをKVM形式に変換し、Oracle Linux KVM環境に移行します。データベースを含むシステムの場合は、データの整合性確認が特に重要です。
5. 検証
本番稼働前に、アプリケーションの動作確認、性能検証、障害時の切り替えテストなどを実施します。問題がないことを確認した上で、本番環境への切り替えを行います。
移行時の注意点
VMwareからOracle Linux KVMへの移行では、以下の点に注意が必要です。
- 互換性確認:ゲストOSのドライバ対応、アプリケーションの動作保証を事前に確認
- ダウンタイム計画:業務影響を最小化するための移行スケジュール策定
- 切り戻し計画:万が一の問題発生時に、元の環境に戻せる体制の準備
4. 移行を成功させるためのポイント
Oracle Linux KVMへの移行を成功させるために、以下のポイントを押さえておきましょう。
事前のライセンス影響調査
移行前に、現状のライセンス構成を正確に把握することが重要です。VMwareライセンスの契約内容、Oracleライセンスの対象範囲を確認し、移行後のコスト削減効果を試算します。特にOracleライセンスについては、Hard Partitioning適用による削減効果を正確に見積もることで、移行の投資対効果を明確にできます。
ハードウェア選定
Oracle Linux KVMを稼働させるハードウェアの選定も重要なポイントです。Oracleが動作保証しているサーバーを選定することで、サポート面での安心感を確保できます。また、将来の拡張性を考慮し、余裕を持った構成を検討することをお勧めします。
運用体制の整備
VMwareからKVMへの移行は、運用手順やツールの変更を伴います。KVM環境の運用に必要なスキルセットを確認し、必要に応じて教育や外部パートナーの活用を検討します。また、監視ツールやバックアップ方式の見直しも忘れずに行いましょう。
5. インサイトテクノロジーのKVM移行ソリューション
インサイトテクノロジーでは、VMwareからOracle Linux KVMへの移行を支援するソリューションを提供しています。
25年以上のデータベース技術ナレッジ
インサイトテクノロジーは、1995年の創業以来、データベース技術に特化したソリューションを提供してきました。Oracle、SQL Server、PostgreSQLなど、多様なデータベースに精通したエンジニアが、お客様の環境に最適な移行計画を策定します。
ワンストップ支援
現状アセスメントからハードウェア設計、KVM環境の構築、移行実施、運用保守まで、ワンストップで支援します。お客様の社内リソースだけでは対応が難しい部分も、経験豊富なエンジニアがサポートします。
想定される導入効果
Oracle Linux KVMへの移行により、以下の効果が期待できます。
- VMwareライセンスコストの削減:ハイパーバイザーのライセンス費用がゼロに
- Oracleライセンスコストの削減:Hard Partitioning適用により、必要コア分のみライセンス対象
- 旧システムの延命:サポート終了したOS・DBも仮想化環境で継続稼働可能
VMwareとOracleの「ダブルコスト問題」を同時に解決できるのが、Oracle Linux KVM移行の大きなメリットです。
まとめ
本記事では、Oracle Linux KVMの特徴とVMwareからの移行方法について解説しました。ポイントを整理します。
- Oracle Linux KVMは、Linuxカーネルに組み込まれたオープンソースの仮想化技術で、ライセンス費用がかからない
- OracleのHard Partitioningに対応しており、VMに割り当てたコア数のみがライセンス対象となる
- VMwareからの移行は、アセスメント→設計→構築→移行→検証の流れで進める
- 移行を成功させるには、事前のライセンス影響調査、適切なハードウェア選定、運用体制の整備が重要
VMwareのライセンス更新時期が近づいている方、あるいはVMwareとOracleのコスト問題に悩んでいる方は、ぜひOracle Linux KVMへの移行を検討してみてください。
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