昭和の営業マン、AIで情報を使う――空いた時間はすべてお客様へ

執筆者:CRO 阿部 健一

CROという肩書きをいただいてから、ずっと考えていることがあります。私の本分は、間違いなく「売上の最大化」です。ここに疑いの余地はありません。

ところが実際の一日を振り返ると、社内会議の予定がびっしりと並び、気づけば自分自身の商談やチームの活動全体の理解、課題対策の立案、次のアクションを検討する時間がほとんど残っていない。加えて複数部署との関連により部門調整等のアクションアイテムが多岐にわたり、これを把握する事はなかなか過酷で、、、――自身の実力不足と言えばそれまでですが、そんな矛盾を、恥ずかしながら日々感じています。

第三回のブログで、私は「提案後のフォローと勝敗分析」というテーマを取り上げ、自らの失注経験を振り返りました。ですがあの原稿を書きながら、内心こう思っていたのも事実です。「本来、こうした振り返りはもっと時間を費やし行うべきなのに、今の自分にその時間も含めたキャパがあるだろうか?」と。

現場を駆け回っていた若手の頃は、商談が終わった帰り道や週末に、自身の活動を振り返る時間がありました。ところが役職が上がり、見るべき範囲が広がるほど、皮肉なことに「振り返る」という一番大事な作業が後回しになっていく。

目の前にあるトランザクションをこなす日々。CROになって、この感覚はより強くなりました。

正直に告白すると、昭和の営業マンを自認する私も、この非効率さを放置したままでは、もう十分な成果を出せない時代になってきたと感じています。取得できる情報量も増加する一方、顧客面談のしづらさはコロナ以降厳しくなっています。先の章で記載した通り、個客からの直情報(ネットに載ってない競合が持ってない情報)が勝負を決めるとわかっているのに。。

これを行うには、ビジネス獲得に費やす時間をどう作り出すのかということを考えざるを得ません。ビジネス推進には、営業スタッフや製品部門とのチームワーク、そして顧客との時間づくりが必要です。自身の時間の使い方もさることながら、チームと顧客との時間の使い方も最善にする必要があります。

今も昔もビジネスのスピード感が求められる事は変わりませんが、更にスピード感を求められる時代になった今、人とのつながり方とその時間の使い方を考えざるを得ない時代になったと理解しています。

決められた時間の中、初回ブログで話した「会う」「聞く」「提案する」に全力を注ぐためには、それ以外の部分をどこかで効率化するしかない。ここ最近、私はその答えの一つとして、AIを使うようになりました。

今更ですが、興味があったので営業職の人はどれだけAIを使っているのだろうとネットを調べてみました。『えっ、こんなに!?』と正直思いました。

出典:[日本の営業に関する意識・実態調査2026 生成AIが購買の意思決定に影響/HubSpot Japan](https://markezine.jp/news/detail/52997)(SalesZine)

私もせっかちですぐに動きたいタイプなので早速、『Claude』なるものを使ってみました。具体的には、次のような使い方をしています。自身の活動の見える化です。

  1. 商談情報やミーティングメモをもとに、情報量の多いビジネス把握において、要点が簡潔かつ理解し易い形に数値を含め状況をまとめてもらう
  2. ビジネスの状況と自身のタスクの関係性を明確にした上で、自分自身のアクションアイテムを整理してもらう
  3. 活動により創出した案件の状況を把握し、それにどのようなタスクを加えるべきか、また修正すべきかを短時間で把握し直す。また、これを備忘録として利用しています

正直なところ、最初は少し抵抗がありました。報告書は自分の言葉で書く・まとめるものだ、という昭和的なこだわりもあったからです。

ですが実際にやってみると、情報を整理するもしくは体裁を整えるという作業そのものに、実はさほど価値がなかったことに気づかされました。価値があるのは、その報告をもとに「次に何をするか」を判断する部分であり、そこは変わらず自分の頭で考えています。これにより自身の仕事も多少効率化ができた気がします。

つまり私がAIに任せたのは、情報を整える作業であって、判断や関係構築ではありません。これは第二回のブログで書いた「情報の量と質・信憑性」の話にも通じます。情報そのものはコモディティ化しても構わない。むしろコモディティ化すべきです。その分、浮いた時間を、お客様に「会う」「聞く」ことや、第三回で触れた「感情労働」――お客様との信頼関係を築く時間に回せるようにしたいと思います。

一つ面白い統計を見つけました。それは世代別AIの活用状況です。グラフの通り、AIを使っているのは、30代~40代が多く、50代が少ない状況です。今回、AIを使ってみて思いました。AIを活用すべきは、50代、60代ではないかと。若い時代はパワーがあります。しかしながら歳を追うにつれ、そのパワーは物理的にも精神的にも衰えてきます。

その世代こそ、その衰え分を補うために活用は必須ではないでしょうか?

出典:[生成AIの企業活用実態調査:6割以上が週に数回以上AIを利用、20代は約6割が「毎日使用」と回答|株式会社スタジオテイル](https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000114225.html)(PR TIMES)

昭和の営業マンは思います。

昭和の営業マンも、変わらなければならない部分は素直に変わる。しかし、お客様と向き合い、本音を聞き、関係を築くという部分だけは、これからも自分の手を抜くつもりは、一切ありません。

――効率化するのは自分の時間の使い方であって、ビジネスの本質ではない。そんな当たり前のことを、AIを使い始めて、改めて実感しています。

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