「とりあえず収集」は無意味。データ基盤のプロが実践する「課題ベース」のタレントマネジメントと未来像

執筆者:CFO 永見 和平

近年、人的資本経営の推進に向けてタレントマネジメントシステムを導入する企業が急増しています。一方で、多くの人事担当者様から「データを集めたものの、全く活用できていない」という悲鳴にも似たご相談をいただきます。

なぜ、データが活用されずに終わってしまうのでしょうか? それは、目的や課題が曖昧なままデータ収集を行っているからです。

データ基盤・データインテグレーションのプロフェッショナルである私たちインサイトテクノロジーは、「データの収集は、常に解決すべき組織課題ベースで決めるべきである」という強い哲学を持っています。今回は、当社がこの哲学に基づいてどのように組織の危機を脱し、次世代の人事へ向けた青写真を描いているのかについてお話しします。

「とりあえず収集」の罠。すべては「組織課題」から逆算する

世の中に溢れるシステムの多くには、保有資格、過去の経歴、希望部署など、膨大な入力項目があります。しかし、「何のためにそのデータを使うのか」という目的が明確でないまま情報をかき集めても、いざ分析しようとした時に「事業課題とリンクしない、使えないデータ」になっていることがほとんどです。

当社では、「システムに入力項目があるから」ではなく、「今、組織が直面している課題は何か? その原因を特定し、解決するためには『どんなデータ』が必要か?」という課題起点で、収集するデータを決定しています。

【現在地】「退職率とエンゲージメント低下」という課題へのアプローチ

かつて、当社は組織のコンディションにおいて明確な課題を抱えていました。退職率が10%を超え、エンゲージメントスコアも下落傾向が続いていたのです。

この「離職とモチベーション低下」という課題を解決するために、私たちは従来の「スキル」や「業績評価」のデータだけでは不十分だと判断しました。人が辞める本当の理由を探るために必要だったのは、従業員の内面である「心のデータ」と「マネジメントの実態データ」でした。

そこで私たちは、以下のように目的を絞ってデータを収集・分析しました。

  • 収集したデータ:エンゲージメントサーベイによる「組織への共感度」や、360度評価による「管理職に対する部下からの生々しい評価」。
  • 生成AI(Gemini)による分析:蓄積した複雑な定性・定量データをGeminiで掛け合わせ分析。「業績評価は高いが部下からのマネジメント評価が低く、その結果として特定チームのエンゲージメントが低下している」という負の相関関係をスピーディーに顕在化させました。
  • 課題解決のアクション:顕在化した事実に基づき、評価基準の是正や、マネジメント層への的確なフィードバック、1on1などを実施。

結果として、かつて10%を超えていた退職率は現在、安定して10%を下回る状況となり、エンゲージメントも明確な下げ止まりから改善傾向へと転じています。課題ベースで必要なデータを集め、AIで正しく打ち手を導き出したからこその成果です。

【未来像】次に私たちが挑む「組織課題」と、収集すべきデータ

私たちは現在の成果に満足していません。事業をさらに牽引する「戦略人事」となるため、すでに次の組織課題を設定し、それに向けた新たなデータ収集と高度なインテグレーションを図っています。

当社がこれから目指す「次世代の人事の姿」は以下の3点です。

  1. 課題:次世代リーダーの育成とサクセッションプラン
    • 収集・活用するデータ: 管理職スキルの可視化とアセスメントデータ
      従来の360度評価から一歩踏み込み、管理職に求められる要件をデータとして精緻に可視化します。これにより、個別の弱みに合わせた教育プログラムの提供や、客観的データに基づいた次期管理職候補の選定を実現します。
  2. 課題:メンタル不調やバーンアウトの「未然防止」
    • 収集・活用するデータ: パルスサーベイによるリアルタイムなコンディションデータ
      年に数回のサーベイでは「結果論」しかわかりません。高頻度・短時間のパルスサーベイを導入し、Geminiの分析力を掛け合わせることで、スコアが大きく下落する前の「微細な不調の兆候」を検知し、先回りした介入を可能にします。
  3. 課題:人事施策の投資対効果の可視化
    • 収集・活用するデータ: HRデータと「事業データ」の高度な統合
      人事施策は、「実施すること」そのものではなく、事業への貢献までつながって初めて意味を持ちます。 当社の強力なデータ統合基盤を活用し、エンゲージメントやマネジメントスキルといったHRデータと、自社の「開発生産性」や「プロジェクトの利益率」といった事業データを結合。人と組織への投資が、いかに事業パフォーマンスを押し上げるかをデータで証明します。

目的のないデータは「コスト」、課題を解決するデータは「資本」

データは、集めるだけではただの維持コストにしかなりません。「解決すべき課題は何か」を突き詰め、そこから逆算して必要なデータを集め、分析と改善につなげていくことで、初めて、組織にとって意味のある「資本」に変わります。

インサイトテクノロジーは、自社そのものを実践の場として、退職率改善という成果を出してきたノウハウと、これから実現しようとしている「高度なデータ統合・AI活用」の明確なビジョンを持っています。

「とりあえずデータを集めたが、どう使えばいいかわからない」と悩む企業の皆様。データマネジメントのスペシャリストであるインサイトテクノロジーに、ぜひその課題解決をお任せください。共に、データで人と組織の可能性を最大化していきましょう。

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