
「OracleからPostgreSQLに移行してライセンスコストを削減したい」「オンプレミスのSQL ServerをAmazon Redshiftに移行してデータ分析基盤を強化したい」——このような異種データベース間の移行ニーズが、近年急速に高まっています。
しかし、異種データベース移行は同種データベース間の移行に比べて難易度が高く、データ型の違いやSQL構文の非互換性など、多くの課題をクリアする必要があります。また、移行中のダウンタイムをいかに最小化するかも重要なポイントです。
本記事では、異種データベース移行が増加している背景から、よくある課題、成功のポイント、そして移行を実現するツール選びまでを解説します。Oracle→PostgreSQL、SQL Server→Redshiftなどの移行を検討中の方に役立つ情報をお届けします。
この記事で分かること
- 異種データベース移行が増えている理由
- 異種データベース移行でよくある課題と、成功のポイント
- 異種データベース移行を実現するツール選びのポイント
1. なぜ今、異種データベース移行が増えているのか
異種データベース移行のニーズが高まっている背景には、主に3つの要因があります。
ライセンスコスト削減
OracleやSQL Serverなどの商用データベースは、高機能である一方でライセンス費用も高額です。近年、PostgreSQLやMySQLなどのオープンソースデータベースが機能面でも商用データベースに匹敵するレベルに成熟し、多くの企業が「Oracle→PostgreSQL」「SQL Server→MySQL」といった移行によるコスト削減を検討しています。
クラウドネイティブデータベースへの移行
データ活用の高度化に伴い、Amazon Redshift、Google BigQuery、Snowflakeなどのクラウドネイティブなデータウェアハウスへの移行ニーズも増加しています。これらは従来のRDBMSとはアーキテクチャが異なるため、異種データベース移行のノウハウが必要になります。
ベンダーロックイン脱却
特定ベンダーの製品に依存することで、ライセンス交渉で不利になったり、技術的な選択肢が制限されたりするリスクがあります。このようなベンダーロックインを避けるため、オープンな技術スタックへの移行を進める企業も増えています。
2. 異種データベース移行でよくある課題
異種データベース移行は、同じデータベースエンジン間の移行に比べて多くの課題があります。代表的なものを見ていきましょう。
データ型・文字コードの違い
データベースごとにサポートしているデータ型は異なります。例えば、Oracleの「NUMBER」型とPostgreSQLの数値型では精度の扱いが異なる場合があります。また、文字コードやロケールの違いにより、日本語データの取り扱いで問題が発生することもあります。
SQL構文の非互換性
標準SQLは存在するものの、各データベースは独自の拡張構文を持っています。特にストアドプロシージャやファンクション、トリガーなどのプログラムロジックは、データベースごとに記述方法が大きく異なります。これらを移行先データベースで動作させるには、書き換えが必要です。
移行時のダウンタイム問題
大量のデータを異種データベース間で移行するには時間がかかります。従来の「データエクスポート→変換→インポート」という手順では、データ量に比例して移行時間が長くなり、その間システムを停止する必要があります。24時間365日の稼働が求められるシステムでは、このダウンタイムが大きな課題となります。
移行後のパフォーマンス劣化リスク
データベースが変わると、SQLの実行計画やインデックスの効き方も変わります。移行元では高速だったクエリが、移行先では遅くなるというケースは少なくありません。移行前の十分な検証と、移行後のチューニングが必要です。
3. 異種データベース移行を成功させるためのポイント
上記の課題を踏まえ、異種データベース移行を成功させるためのポイントを解説します。

事前アセスメントの重要性
移行プロジェクトを始める前に、現行システムの徹底的な調査が必要です。使用しているデータ型、SQL構文、ストアドプロシージャの数と複雑さ、データ量などを把握し、移行先データベースとの互換性を評価します。この事前アセスメントの精度が、プロジェクト全体の成否を左右します。
段階的な移行計画
大規模なシステムを一度に移行する「ビッグバン移行」はリスクが高いため、可能であれば段階的な移行計画を立てましょう。例えば、まず参照系のシステムから移行し、問題がないことを確認してから更新系を移行する、といったアプローチが有効です。
CDC活用によるダウンタイム最小化
CDC(Change Data Capture)技術を活用することで、移行時のダウンタイムを大幅に短縮できます。CDCは、データベースの変更をリアルタイムに検知・取得する技術です。初期データを移行している間も、移行元で発生した変更を差分として移行先に反映し続けることで、切り替え直前まで両システムを同期させ、最終的な切り替え作業のみを短時間で完了させることができます。
テスト環境での十分な検証
本番移行の前に、テスト環境で十分な検証を行うことが不可欠です。データの整合性、アプリケーションの動作、パフォーマンスなどを多角的にテストし、問題があれば本番移行前に解決します。特に、SQLの非互換性に起因する問題は、網羅的なテストによって洗い出す必要があります。
4. 異種データベース移行を実現するツール選び
異種データベース移行を効率的に進めるには、適切なツールの選定が重要です。まず、データ移行ツールの種類と特徴を理解しましょう。
バッチ型ETLとリアルタイムレプリケーションの違い
データ移行ツールは大きく「バッチ型ETL」と「リアルタイムレプリケーション(CDC)」の2種類に分けられます。
バッチ型ETL(Extract/Transform/Load)は、データを一括で抽出・変換・ロードする方式です。定期的なデータ連携には適していますが、移行時には「全データの抽出完了→変換処理→ロード完了」まで移行元システムを停止する必要があり、データ量が多いほどダウンタイムが長くなります。
一方、リアルタイムレプリケーション(CDC方式)は、データベースのトランザクションログを監視し、変更が発生した瞬間にデータを移行先へ反映します。初期データのロード中も差分を取り続けるため、移行元システムを稼働させたまま同期を進められます。最終的な切り替え時のダウンタイムは、差分の反映が追いつくまでのわずかな時間(数分〜数十分程度)に抑えられます。
| 項目 | バッチ型ETL | リアルタイムレプリケーション(CDC) |
| データ取得方式 | 定期的に一括抽出 | トランザクションログを常時監視 |
| 移行時のダウンタイム | 長い(データ量に比例) | 最小限(数分〜数十分) |
| 移行元への負荷 | 抽出時に高負荷 | 低負荷(ログ読み取りのみ) |
| 異種データベース移行への適性 | △(ダウンタイムが課題) | ◎(ダウンタイム最小化) |
なぜCDCが異種データベース移行に最適なのか
異種データベース移行では、データ型の変換やスキーマの調整に時間がかかるため、移行処理全体が長時間化しがちです。バッチ型ETLでは、この間ずっとシステムを停止する必要があります。
CDC方式であれば、初期ロードと並行して差分同期を行えるため、移行元システムを稼働させながら移行作業を進められます。万が一、移行先で問題が発生した場合も、移行元システムはそのまま稼働しているため、切り戻しも容易です。24時間365日の稼働が求められる基幹システムの移行には、CDC方式が最適といえます。
Qlik Replicateによる異種データベース移行
Qlik Replicateは、ログベースのCDC技術を採用したデータレプリケーションツールです。異種データベース移行に最適な以下の特徴を備えています。
• エージェントレス設計:移行元データベースにソフトウェアをインストールする必要がなく、既存環境への影響を最小化
• 低負荷:トランザクションログの読み取りのみで変更を検知するため、移行元システムへの負荷を抑制
• 幅広い対応データベース:Oracle、SQL Server、PostgreSQL、MySQL、Amazon Redshift、Snowflake、Google BigQueryなど主要なデータベースに対応
• 自動データ型変換:異種データベース間のデータ型の違いを自動的にマッピング・変換

Insight SQL Testingとの連携でSQL互換性も検証
異種データベース移行では、データの移行だけでなく、SQLの互換性検証も重要な課題です。移行元で正常に動作していたSQLが、移行先で同じ結果を返すとは限りません。
インサイトテクノロジーが提供するInsight SQL Testingは、本番環境で実行された数万〜数百万のSQLを自動的にキャプチャし、移行先データベースで実行して結果を比較します。構文エラー、結果の差異、パフォーマンス劣化などを網羅的に検出できるため、移行後のトラブルを未然に防止できます。Qlik Replicateでデータを移行し、Insight SQL TestingでSQLの互換性を検証することで、安全かつ確実な異種データベース移行を実現できます。
5. 異種データベース移行の関連事例
Qlik Replicateを活用したデータ移行・データ連携の事例を紹介します。
千趣会:オンプレミスからAWSへの移行
女性向け通販ビジネスを展開する千趣会は、オンプレミス環境のシステムをAWSに移行する「脱ホスト」プロジェクトにおいて、Qlik Replicateを採用しました。ECサイトの膨大なデータを、ビジネスを止めることなく迅速かつセキュアに移行することに成功しています。
クボタシステムズ:ニアリアルタイムでのデータ連携
クボタグループのIT中核企業であるクボタシステムズは、データ活用基盤の構築にQlik Replicateを採用しました。現行データベースに負荷をかけることなく、ニアリアルタイムでのデータ連携を実現し、迅速なデータ活用を可能にしています。
6. 異種データベース移行を成功させるパートナー選びのポイント
異種データベース移行は技術的な難易度が高いため、経験豊富なパートナーとの協業が成功の鍵となります。パートナー選びのポイントを紹介します。
マルチデータベース対応の実績があるか
Oracle、SQL Server、PostgreSQL、MySQL、各種クラウドデータベースなど、複数のデータベースに精通しているパートナーを選びましょう。異種データベース移行では、移行元と移行先の両方のデータベースに関する深い知識が必要です。
移行アセスメントから運用まで一貫して支援できるか
事前のアセスメント、移行計画の策定、実際の移行作業、移行後の運用支援まで、ワンストップで対応できるパートナーが理想的です。フェーズごとに異なるベンダーが関与すると、責任の所在が曖昧になり、プロジェクトの遅延やトラブルにつながるリスクがあります。
インサイトテクノロジーのコンサルティングサービス
インサイトテクノロジーは、25年以上にわたりデータベース技術に特化したサービスを提供してきました。Oracle、SQL Server、PostgreSQL、MySQLなど主要なデータベースに精通したエンジニアが、異種データベース移行のアセスメントから移行実施、運用支援までをワンストップでサポートします。Qlik ReplicateとInsight SQL Testingを組み合わせた、安全かつ効率的な異種データベース移行をご提案します。
まとめ
異種データベース移行は、ライセンスコスト削減やクラウドネイティブ化を実現するための重要な手段です。本記事のポイントを整理します。
- ライセンスコスト削減、クラウドネイティブデータベースへの移行、ベンダーロックイン脱却が異種データベース移行の主な動機
- データ型の違い、SQL構文の非互換性、ダウンタイム、パフォーマンス劣化が主な課題
- 事前アセスメント、段階的移行、CDC活用、十分なテストが成功のポイント
- Qlik Replicateは異種データベース間のリアルタイム同期に対応し、ダウンタイムを最小化
- Insight SQL Testingを併用することで、移行後のSQL互換性・パフォーマンス問題を事前に検証可能
Oracle→PostgreSQL、SQL Server→Redshiftなど、異種データベース移行をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
異種データベース移行のご相談はインサイトテクノロジーへ
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