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クボタシステムズ|ニアリアルタイムでデータ連携できるQlik Replicateはなくてはならない存在です

藤田 隆三
クボタシステムズ株式会社
クボタソリューション事業本部KS第一事業部販売サービス部10T開発グループ長
藤田 隆三
農繁期には農業機械がフル稼働して膨大なデータが生成されるため、データベースにも負荷がかかります。そのような環境でもニアリアルタイムでデータ連携できるQlikReplicateはなくてはならない存在です。
藤田 隆三
クボタシステムズ株式会社
KS第一事業部販売サービス部10T開発グループ
山脇
QlikReplicateは速度面でもわれわれの期待以上のパフォーマンスでしたので、問題なくデータ連携ができると判断しました。

株式会社クボタが2014年から提供を開始した「KSAS(クボタスマートアグリシステム)」は、自社の農業機械に取り付けたセンサーや IoT(Internet of Things)デバイスから収集したデータを分析して可視化し、効率のよい営農(農業経営)を実現する営農支援システ ムである。これまで収集したデータはオンプレミス環境のデータベースに格納していたが、今後のKSASの機能拡張を見据えて基盤シ ステムをクラウドへ移行することを決断した。「現行のデータベースに負荷をかけない」「ニアリアルタイムでデータ連携ができる」データレプリケーションツールを選定した結果、「Qlik Replicate」の導入を決定したという

農業を知り尽くしたクボタだからこそできる 営農支援「KSAS」

1890年の創立以来、人々の生活に欠かせない食料・水・環境の3領域で社会課題の解決に取り組む株式会社クボタ(以下:クボタ)。クボタシステムズ株式会社(以下:クボタシステムズ)はクボタの100%子会社として1987年に創業した情報システム会社だ。従業員は578名(2022年4月1日現在)で、クボタグループのITシステムに関する設計・開発や、農業機械とICTを連携したシステム開発にも取り組む。

現在、クボタシステムズが注力しているのは、農業経営の効率化を実現する支援活動である。その中でも農業従事者の高齢化や就業人口の減少といった農業課題を解決する施策として注目されているのが、「KSAS」というサービスだ。

KSASはクボタのトラクタや田植機、コンバインといった農業機械と最先端ICT(情報通信技術)を融合させた、クラウド基盤の営農支援サービスである。農業機械に取り付けたセンサーやIoT機器からさまざまなデータを収集し、農業に関連するあらゆるものを「可視化」する。クボタシステムズ クボタソリューション事業本部 KS第一事業部 販売サービス部 IoT開発グループ長を務める藤田隆三氏は、KSASの特徴を以下のように説明する。

「KSASを活用すれば、耕作機や乾燥機、コンバインなどの稼働データを分析し、収穫量や食味を把握できます。そのようなデータを活かして素早くPDCAを回せば、『高収量で高品質な作物を収穫するにはどの部分を改善し、次に何をすべきか』が判断できます。クボタの強みは、農業と農業機械、そしてICTに対する知見があることです。それらを連携して活用することで、農業従事者の皆様にスマート農業をご活用頂ける環境作りをサポートしております」(同氏)

レコード数十億件のIoTデータを クラウドに移行/連携


KSASの提供開始は2014年。当初はIoT機器から収集したデータを、オンプレミス環境のデータベース製品に格納していた。しかし、今後も急増するIoTデータをオンプレミスで運用するには限界農業を知り尽くしたクボタだからこそできる営農支援「KSAS」がある。また、KSASは農研機構が推進する「農業データ連携基盤(通称 WAGRI ※1)」や、ほかのメーカーともオープンAPI(Application Programming Interface※2)で連携していく戦略をとっている。将来的なデータ連携を考えれば、クラウド環境へ の移行は不可欠だ。

※1 WAGRI……気象や農地、収量予測など農業に役立つデータやプログラムを 提供する公的なクラウドサービス。 https://wagri.naro.go.jp/about_wagri/

※2 KSAS Developers……KSASデータを活用した農家様向けアプリの作成 を支援する開発者様向けAPIサービス。 https://developers.ksas.kubota.co.jp/

クボタシステムズ KS第一事業部 販売サービス部 IoT開発グループの山脇卓也氏は、「現在であればクラウドサービスで非構造化データを蓄積する技術が提供されていますが、KSASを開発していた2010年代前半は、そのような技術は黎明期でした。そのため、オンプレミスで運用するしか選択肢がなく、苦労しながら膨大なデータを扱っていました。」と当時を振り返る。

クボタは2020年、マイクロソフトとデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に向けた戦略的提携を締結している。そのような背景もあり、オンプレミスで運用しているデータベースを、クラウドの「Azure 環境のデータベースサービス」へ段階的に移行することを決定し、オンプレミスとクラウドのデータ連携を実行した。

データ連携でもっとも重視したのは、連携元となるデータベースに負荷をかけないことだ。既存のデータベースにはレコード数十億件という大量のIoTデータが格納されていた。藤田氏は、「データレプリケーションツールを選定する際には元データベースに対する低負荷での運用が可能で、ニアリアルタイムでデータ連携ができることを条件としました。その両方を兼ね備えていたのが、Qlik Replicateだったのです。」と語る。

「Qlik Replicate」選定の決め手は 現行のデータベースの負荷が最小限だったこと

Qlik Replicateは、マルチデータベース間のリアルタイムレプリケーションを実現するソリューションだ。連携先のデータベースに変更を取得・送信するエージェントを導入しないため、元データベースに対する負荷を最小限に抑えられる特性を持つ。

クボタシステムズではQlik Replicateの導入にあたりPoC(概念実証)環境を構築し、実データの連携を想定した環境で機能面/性能面を評価した。山脇氏は「3カ月間のPoCで、現行のデータベースにほとんど影響がないことや構成変更も最小限で済むことを確認しました。速度面でもわれわれの期待以上のパフォーマンスでしたので、問題なく連携できると判断しました。」と語る。

PoCを経て最初に取り組んだのは、農業機械のセンサー情報が格納されているIoTデータの移行だ。クボタシステムズでは、これらデータの移行後にKSASのシステム基盤を移行する仕組みを構築した。これであれば、システムを本番環境に移行した後のシステム切り替え時に、データの移行作業を効率化する事が可能であると判断した。

もう1つの条件として挙げたニアリアルタイムでのデータ連携も、期待どおりの結果が得られたと藤田氏は語る。Qlik Replicateには独自技術のCDC(Change Data Capture)が備わっている。これは元データベースの変更データログを読み込み、連携先データベースに変更データのみ反映する仕組みだ。

継続的にデータ連携することを考えれば、大量データを安定的に運用でき、かつ元データベースに負荷をかけないという観点からもQlik Replicateは群を抜いていました。」(同氏)

Qlik Replicateの導入ではインサイトテクノロジー担当者のきめ細やかなサポートが役に立ったという。山脇氏は、「インサイトテクノロジーとは初めてのお付き合いでしたが、PoCの構築段階からオンプレ環境のデータベースの設定変更なども協力してもらいました。問い合わせにはすぐにレスポンスを返してくれるので、安心して作業ができました。」と評価する。

さらにQlik Replicateは操作性面でもすぐれていると山脇氏は語る。「UIがわかりやすく直感的に操作できるため、操作をしながら分からない部分だけマニュアルで確認するといった使い方でした。」 (同氏) クボタシステムズでは今後もKSASの機能をさらに強化し、営農支援を拡充していく計画だ。インフラ基盤のクラウド移行にあたって、Qlik ReplicateがKSASの発展に大きく貢献していくことは間違いない。

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