クラウド移行時のデータ同期、どうする?ダウンタイムを最小化する3つの方法

クラウド移行は、今や多くの企業にとって「するかどうか」ではなく「いつ、どのように行うか」の問題になっています。経済産業省が警鐘を鳴らした「2025年の崖」を背景に、レガシーシステムからクラウドへの移行を進める企業が増加しています。

前回の記事「異種データベース移行の課題とは?Oracle→PostgreSQL、SQL Server→Redshift移行を成功させる方法」では、異種DB間移行の課題と成功のポイントを解説しました。今回は、クラウド移行において避けて通れない「データ同期」の課題に焦点を当て、ダウンタイムを最小化するための具体的な方法を3つご紹介します。

この記事で分かること

  • クラウド移行でデータ同期が課題になる理由
  • ダウンタイムを最小化する3つのデータ同期方法と比較
  • CDC対応レプリケーションがクラウド移行に最適な理由

1. クラウド移行でデータ同期が課題になる理由

クラウド移行を計画する際、多くの企業が直面するのが「データ同期」の問題です。移行作業中もビジネスは止まらないため、データは常に更新され続けます。この「動き続けるデータ」をどう扱うかが、移行プロジェクト成功の鍵を握ります。

移行中もビジネスは止まらない

基幹システムやECサイトのデータベースは、24時間365日稼働していることが当たり前になっています。移行作業のためにシステムを長時間停止することは、売上損失や顧客満足度の低下につながります。しかし、システムを動かしたまま移行を進めると、移行中に発生した「データの差分」をどう埋めるかという問題が発生します。

従来の移行方法(一括移行)の限界

従来の一般的なデータ移行方法は、システムを停止してバックアップを取得し、移行先にリストアするというものでした。この方法はシンプルで確実ですが、データ量が増加した現代では、移行作業が長時間化し、許容できるメンテナンス時間内に完了しないケースが増えています。

特に、テラバイト級のデータを持つ企業では、バックアップの取得だけで数時間、リストアにも数時間かかることがあります。その間、システムは完全に停止したままです。

では、ダウンタイムを最小化しながらデータを同期するには、どのような方法があるのでしょうか。次のセクションで、3つのアプローチを比較します。

2. ダウンタイムを最小化する3つのデータ同期方法

クラウド移行時のデータ同期には、主に3つの方法があります。それぞれのダウンタイム、コスト、難易度を比較しながら、自社に最適な方法を検討しましょう。

方法①:バックアップ&リストア+差分適用(従来型)

最もシンプルな方法です。システムを停止してバックアップを取得し、移行先にリストア。その後、停止中に発生した差分データを手動またはスクリプトで適用します。

【メリット】手順がシンプル、追加ツール不要

【デメリット】ダウンタイムが長い(数時間〜数日)、大規模データでは現実的でない

方法②:スナップショット・レプリケーション(従来型レプリケーション)

スナップショット・レプリケーションは、ある時点のデータベース全体のコピー(スナップショット)を定期的に取得し、移行先に反映する方式です。ファイルベースのETLツールなども、このカテゴリに含まれます。

バックアップ&リストアよりは効率的ですが、スナップショット取得時にデータベースに負荷がかかること、スナップショット間の変更は反映されないため、最終的な切り替え時には差分の適用が必要になります。

【メリット】バックアップ&リストアより効率的、定期的な同期が可能

【デメリット】スナップショット取得時にDB負荷が高い、リアルタイム同期ではない、切り替え時に差分適用が必要

方法③:CDC対応レプリケーション

CDC(Change Data Capture)対応のレプリケーションツールを使用する方法です。データベースのトランザクションログから変更データをリアルタイムにキャプチャし、移行先に継続的に反映します。

初期データの一括移行後、CDCによる差分同期を切り替え直前まで継続することで、ダウンタイムを「最後の差分適用+システム切り替え作業」の時間のみに短縮できます。

【メリット】ダウンタイムが最小(数分〜数十分)、移行元DBへの負荷が低い、リアルタイムに近い同期が可能

【デメリット】CDC対応ツールが必要、初期設定に専門知識が必要

3つの方法の比較

比較項目バックアップ&リストアスナップショット・レプリケーション③CDC対応レプリケーション
ダウンタイム長い(数時間〜数日)中程度(数時間)最小(数分〜数十分)
移行元DBへの負荷高い中〜高(スナップショット取得時)低い(ログ読み取りのみ)
リアルタイム性なし低い(定期取得)高い(ニアリアルタイム)
導入コスト低い中程度中〜高
適したケース小規模DB、長時間停止可能中規模DB、定期メンテナンス可能大規模DB、ミッションクリティカル

比較表からも分かるように、ダウンタイムの最小化と移行元DBへの負荷軽減を両立できるのがCDC対応レプリケーションです。では、なぜCDC対応レプリケーションがクラウド移行に最適なのか、さらに詳しく見ていきましょう。

3. CDC対応レプリケーションがクラウド移行に最適な理由

CDC対応レプリケーションを活用することで、クラウド移行における「ダウンタイム最小化」「データ整合性確保」「移行リスク低減」を同時に実現できます。そのメカニズムを解説します。

初期ロード中も差分を自動キャプチャ

CDC対応のレプリケーションツールでは、初期データの一括転送(初期ロード)を行いながら、同時に発生する変更データもキャプチャし続けます。初期ロードが完了したら、蓄積していた差分データを適用することで、移行元と移行先のデータを同期状態にできます。

切り替え直前まで同期を継続

CDCによる差分同期は、切り替え直前まで継続できます。つまり、実際のダウンタイムは「最後の差分適用+システム切り替え作業」の時間だけに短縮されます。数テラバイトのデータベースでも、切り替え時のダウンタイムを数分〜数十分に抑えることが可能です。

移行後のロールバック対策にも有効

移行後に問題が発生した場合のロールバック対策としても、CDC対応レプリケーションは有効です。移行後も一定期間、逆方向の同期(移行先→移行元)を維持しておけば、万が一の場合も元の環境に戻すことができます。

4. データ同期ツールの比較と選定ポイント

データ同期ツールには様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。ここでは、ツールの種類と選定時に押さえておくべき3つの比較ポイントを解説します。

ツールの種類:バッチ型ETL vs リアルタイムレプリケーション

データ同期ツールは、大きく「バッチ型ETL」と「リアルタイムレプリケーション」の2種類に分けられます。

バッチ型ETLは、定期的なスケジュール(例:1日1回、1時間ごと)でデータを抽出・変換・ロードする方式です。データウェアハウスへのデータ統合など、リアルタイム性が求められない用途に適しています。ただし、移行時のダウンタイム最小化には向いていません。

一方、リアルタイムレプリケーションは、データの変更をほぼリアルタイムで同期する方式です。CDC技術と組み合わせることで、移行元と移行先のデータをニアリアルタイムで同期し続けることができ、切り替え時のダウンタイムを最小化できます。クラウド移行においては、リアルタイムレプリケーション型のツールが適しています。

比較ポイント①:対応クラウド(AWS/Azure/GCP)の範囲

AWS、Azure、Google Cloudなど、移行先となるクラウド環境に対応しているかを確認します。また、Amazon RDS、Azure SQL Database、Google Cloud SQLなどのマネージドサービスへの直接移行が可能かどうかも重要な選定ポイントです。マルチクラウド戦略を取る企業では、複数のクラウドに対応しているツールを選ぶことで、将来の柔軟性を確保できます。

比較ポイント②:対応データベースの範囲(Oracle、SQL Server、PostgreSQL等)

Oracle、SQL Server、PostgreSQL、MySQLなど、移行元・移行先のデータベースに対応しているかを確認します。特に異種データベース間の移行(例:Oracle→PostgreSQL)を予定している場合は、対応しているツールが限られるため注意が必要です。また、メインフレームやSAP、Salesforceなど、特殊なデータソースとの連携が必要な場合は、それらに対応しているかも確認しましょう。

比較ポイント③:ダウンタイム最小化の仕組み(CDC対応の有無)

ツールによってCDCの実装方式が異なります。トランザクションログを直接読み取る「ログベースCDC」は、移行元DBへの負荷が低く、リアルタイム性も高いため、ミッションクリティカルなシステムの移行に適しています。一方、トリガーベースやタイムスタンプベースのCDCは、移行元DBに負荷がかかる場合があるため、本番環境への影響を考慮して選定する必要があります。

選定ポイントを踏まえたQlik Replicateの強み

Qlik Replicateは、上記の選定ポイントを高いレベルで満たすリアルタイムレプリケーションツールです。

  • エージェントレス設計:移行元システムに追加ソフトウェアをインストールする必要がなく、既存環境への影響を最小限に抑えられます
  • ログベースCDC:トランザクションログを直接読み取ることで、移行元DBへの負荷を最小化しながらリアルタイムに近いデータ同期を実現します
  • 幅広い対応範囲:主要なデータベース(Oracle、SQL Server、PostgreSQL、MySQL等)とクラウドサービス(AWS、Azure、GCP)に加え、メインフレームやSAPにも対応しています
  • 異種DB間移行:Oracle→PostgreSQLなどの異種データベース間移行にも対応しており、クラウドネイティブDBへの移行も支援します

5. クラウド移行事例:ダウンタイムを最小化した成功パターン

実際にQlik Replicateを活用してクラウド移行を成功させた企業の事例をご紹介します。

千趣会:オンプレミスからAWSへの「脱ホスト」プロジェクト

通販大手の千趣会は、オンプレミス環境で運用していたIBM Db2 for z/OSを、AWS上のPostgreSQLに移行する「脱ホスト」プロジェクトを実施しました。ECサイトの膨大なデータを素早くかつセキュアに移行するため、Qlik Replicateを採用。移行作業中もシステムを稼働させながら、データの整合性を保った状態で切り替えを完了しました。

千趣会事例を詳しく見る ▶︎

クボタシステムズ:現行DBに負荷をかけずニアリアルタイムでデータ連携

クボタシステムズは、農業機械のIoTデータを管理するシステムのクラウド移行において、「現行データベースに負荷をかけない」ことを最も重視しました。Qlik ReplicateのCDC技術により、本番稼働中のデータベースに影響を与えることなく、ニアリアルタイムでデータ連携を実現。3カ月間のPoC(概念実証)で、期待以上のパフォーマンスを確認しました。

クボタシステムズ事例を詳しく見る▶︎

まとめ

クラウド移行時のデータ同期は、ダウンタイムとデータ整合性のバランスを取ることが重要です。本記事のポイントを整理します。

  • クラウド移行中もビジネスは止まらないため、「動き続けるデータ」の同期が課題になる
  • データ同期の方法は3つ:バックアップ&リストア、スナップショット・レプリケーション、CDC対応レプリケーション
  • ダウンタイム最小化と移行元への低負荷を両立するならCDC対応レプリケーションが最適
  • ツール選定では、バッチ型ETL vs リアルタイムレプリケーションの違いを理解し、対応クラウド・DB範囲、CDC対応の有無を比較することが重要

インサイトテクノロジーでは、CDC対応レプリケーションツール「Qlik Replicate」を活用したクラウド移行を数多く支援しています。「ダウンタイムを最小化したい」「移行中も本番システムを止められない」といった課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

▼ Qlik Replicateの資料をダウンロード

https://www.insight-tec.com/download/document_0006

▼ Qlikが提供するリアルタイムデータ同期について詳しく見る

https://www.insight-tec.com/products/qlik-data-integration-platform

▼ DB移行の悩みをまず相談する

https://www.insight-tec.com/products/qlik-data-integration-platform/#f

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