「昭和の営業マン」はAIに勝てるのか? デジタル時代に試される営業手法

執筆者:CRO 阿部 健一

AIを使えば営業成績は上がるのか?──昭和の営業マンを自認する私ですが、頻繁にそんな考えが頭をよぎるようになり、そのたびについ遠い目で物思いにふけってしまいます。最近はAIやDXといった華々しい言葉が躍る記事ばかりが目につき、「もしかして自分、アップデートしないと化石扱い?」と不安になることもしばしばです。

私は、半導体のプロダクトエンジニアとしてキャリアをスタートさせました。そこからプロダクトマーケティング部門、さらには購買部門を経験し、30歳で営業職に転身しました。このように技術も購買も経験してきたおかげで、“買う側の気持ちが痛いほど分かる営業”になることができたのは、ちょっとした強みです。現在勤めているインサイトテクノロジーも気づけば入社17年目、営業歴に至ってはもうすぐ30年という大きな節目を迎えます。なんとも年季の入った「昭和モデル」です。

営業職を始めたばかりの頃は、先輩の言う通りにお客様を訪問し、提案を繰り返す日々でした。ここで最初に学んだのは、「お客様との関係づくり」の重要性です。結局ここができないと、二度目の訪問につなげることはおろか、ささいな情報すらもらえません。ではどうしたらお客様といい関係がつくれるのでしょうか。

私は会社でも自身のチームの営業メンバーたちに対し、よくこう言います。「①会う → ②聞く → ③提案する」という3つのステップをきっちりやりましょう、と。

このプロセスは一見シンプルに見えますが、特に「①会う」と「②聞く」が難しいのです。現在はAIが提案書作成を助けてくれる時代になりましたが、“会えていない・聞けていない”状態では、いくらAIの性能が進化してもお客様に喜ばれるような良い提案ができません。一見昭和的と思われるかもしれませんが、営業の本質は今も昔も変わっていないと、私は感じています。

そこで、特に重要になる「①会う」と「②聞く」について、詳しくお話ししてみたいと思います。

まず「①会う」についてです。コロナ以降、リモート勤務が当たり前の世の中になりました。アポイントを取るために会社に電話をしても、お客様が会社にいないのは日常茶飯事です。アポイントがとれたとしても当然リモートでの打ち合わせになりますし、その中でお客様がカメラをオンにしてくれないことも増えました。

営業の本音を言うと、相手の表情・仕草こそが“お宝情報”なのです。ここから、お客様の発した言葉だけではたどり着くことのできない、真の本音をうかがい知ることができます。重要事項はオンラインではなく直接会って話す――企業がそう判断するのも、なるほど納得です。

ですが先ほども書いた通り、初回の打ち合わせはリモートであることがほとんどです。お客様に実際に会ってもいいと思ってもらえるよう、可能な限りここで関係づくりを進めるしかありません。そして実際に会って、お客様の言葉だけでなく、表情や仕草をしっかり見る。

一見効率が悪そうに見えますが、Face to Faceの価値はいまだ健在だと私は確信しています。

余談ではありますが、これは企業内コミュニケーションにおいても同様です。ここ1〜2年で、国内外問わず出社を推奨する企業も増えてきたのも、そう考える経営者が多いからでしょう。

企業名出社回帰方針
アマゾン(Amazon)2024年9月から週5日原則出社へフル出社回帰
メタ(旧Facebook)2023年9月以降リモート要員以外、原則週3出社
JPモルガン・チェース2025年3月から週5日フル出社回帰
AT&T(米)2025年1月からフル出社回帰を推奨し、ハイブリッド勤務を縮小
メルカリ(Mercari)2024年7月末より週2日出社のハイブリッド勤務を推奨
GMOインターネットグループ2023年2月21日から原則出社(在宅勤務も一部可能)
LINEヤフー2025年4月以降フルリモート廃止し、部門により週1日または月1以上の出社
アクセンチュア2025年6月から週5日フル出社でフル出社回帰
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWS)2025年1月から原則週5日のフル出社回帰
日清食品HD2023年度末から出社率上限を40%から60%に引き上げ
サントリー2024年4月より在宅勤務手当(1日200円)を廃止し出社回帰を推進

出典:【【2025年最新調査】出社回帰の実態と対策|出社したくない理由と解決法】|株式会社エデンレッドジャパン(エデンレッドブログ)

次に「②聞く」についてです。たとえ同じお客様にまったく同じことを質問したとしても、対面とリモートでは返ってくる情報がまったく違います。初対面の人に心の内を全て話す人はいません。ですが、信頼している人が相手であれば、話す量も質も変わってきます。お客様の本音を知るための一番の近道は、結局は「信頼関係」と「正確な情報を得る質問の仕方」なのです。

「信頼関係」については「①会う」でも書きましたので、「質問の仕方」についても触れておきます。
打ち合わせの場で私はよく、お客様の表情やトーンを読みながら質問を変化させます。いわば “営業のアドリブ力”ですね。これはもちろん私の30年にわたる経験によって培われた部分もあるのですが、経験が浅いからと言ってできないわけではありません。一番大事なのは、「お客様に本気で興味を持つこと」。これだけはAIに真似されたくない部分です。いや、負けたくない部分です。

このブログを書きながら、SHIFT AI社による「AIに奪われにくい職種ランキング」という記事を見つけました。営業職が上位に入っているのを見て、「まだ昭和営業マンにも生存圏があるぞ」とホッとしたのはここだけの話です。

出典:【「AIに奪われにくい」と感じる職種は、1位 法人営業、2位 経営企画、3位 新規事業】|株式会社SHIFT AI(PR TIMES)

現在、私はCROという立場ですが、これからもお客様と直接会い、表の本音・裏の本音(?)を聞き、悩みを解決する“昭和の営業マン”であり続けたいと思います。

――AI時代でも、やっぱり人は人によって動く。そんな当たり前を、これからも大切にしたいのです。

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