ソフトウェア製品のサポート終了(EOS:End-of-Support)は、どのような製品にも起こり得る問題だと思います。特に、データ連携ツールのようにビジネスの根幹を支える製品がEOSになると、既存システムの見直しや移行作業など、多大な時間とリソースが必要になるため、事業継続への影響も懸念されます。
そうした中、Syniti Replicateのサポートが2026年6月10日をもって終了するアナウンスがされています。
このアナウンスは、現在Syniti Replicateをご利用中のお客様にとって、今後のデータ基盤戦略を再検討する重要な契機となるでしょう。サポート終了日までに、代替ソリューションへの移行計画を策定し、実行に移すことが求められています。
インサイトテクノロジー社では、2013年より、Qlik Replicateを日本国内において取り扱っており、異機種間データベースのデータ連携や移行などの分野において、明治安田生命保険やPayPay銀行、千趣会などのエンタープライズ企業を中心に約100社のコンサルティング経験があります。今回のSyniti Replicateのリプレイスにおいてもお客様のお役に立てると考えております。
本ブログでは、一般的なデータレプリケーションツールの選定ポイントと、次世代のソリューションとしてご検討いただきたい「Qlik Replicate」の可能性についてご紹介します。
1. データレプリケーションソリューションの選定ポイントと考慮点
一般的なデータレプリケーションソリューションとして選定する際のポイントとしては、以下のような項目が検討されます。
選定ポイント | 考慮事項 |
サポート・互換性 | 移行元・移行先のデータベース、クラウド環境への対応状況 |
メインフレーム(AS/400等)特有の処理(再編成など)への対応可否 | |
仮想化環境(VMware, Nutanix等)での動作実績とHA構成のサポート状況 | |
リアルタイム性・性能 | データ変更を検知する方式(ポーリング、ログベースCDC等)と、それによる遅延やソース環境に与える負荷の有無 |
大規模データ量における同期性能と、データ量増加時の性能劣化の度合い | |
同期の不安定さや更新漏れが発生する頻度、およびその解決策 | |
運用性・管理性 | 導入の容易さ(エージェントレス設計など)と、既存システムへの影響度 |
障害発生時のリカバリ方法(停止時点からの再開、フルロードからの再開など) | |
データ整合性チェック機能の有無 | |
費用対効果 | ソース/ターゲットのコア数、データ移動量など、課金モデルの基準 |
初期導入費用と、年間保守費用を含むTCO(総所有コスト) | |
買い切り型かサブスクリプション型かといったライセンス体系 |
2. Qlik Replicateが拓く新しいデータ連携の可能性
Qlik Replicateは、主要なデータベース、クラウドプラットフォーム、メインフレームなど、多様なデータソースとターゲットに対応し、高速かつ大規模な変更データキャプチャ(CDC)レプリケーションに強みを持つソリューションです。そのエージェントレス設計は、既存システムへの影響を最小限に抑え、運用の負担を軽減します。
Qlik Replicateがもたらす価値:
- 広範なデータ環境への適応性: Qlik Replicateは、従来のRDBMSだけでなく、最新のクラウドデータウェアハウス、データレイク、そしてSAPやメインフレームといった基幹システムまで、非常に多岐にわたるデータ環境との連携をサポートします。これにより、お客様の既存のIT資産を活かしつつ、将来的なデータ基盤の拡張やクラウド移行のニーズにも柔軟に対応できます。
- ビジネス要件に応えるリアルタイム性: Qlik Replicateは、高度なCDC技術により、データの変更をほぼリアルタイムで検知し、ターゲット環境へ反映させます。特定の条件下で発生しうる同期の遅延や、データ不整合のリスクを低減し、常に最新のデータに基づいてビジネスの意思決定を支援します。これにより、従来のレプリケーション手法では難しかった、迅速なデータ分析やアプリケーション連携が可能になります。
- 特定の環境における課題解決への貢献: 一部のレプリケーションツールで課題として認識されることのある、特定のメインフレーム環境(例:AS/400)における再編成処理後のデータ連携不整合といった問題に対しても、Qlik Replicateは安定したデータ連携を実現します。これは、データ連携方式の根本的な設計思想に基づき、レコード構造の変化に左右されにくい堅牢性を有しているためです。これにより、手動でのリカバリ作業や、計画外のフルリフレッシュといった運用負荷を軽減し、お客様の運用効率向上に貢献します。
- 堅牢な運用と迅速なリカバリ: Qlik Replicateは、ネットワークの中断などによる一時的な停止時も、中断時点からのデータ連携を再開できるため、大規模なデータ転送のやり直しを避けることができ、ビジネスの継続性を強力にサポートします。
- 直感的な操作性と導入の容易さ: 直感的なグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)により、専門知識がなくても容易にレプリケーションタスクを設定・管理できます。エージェントレス設計は、ソースシステムへの導入負担を最小限に抑え、既存のIT環境への影響を軽減しながら、迅速な導入と運用開始を可能にします。
- Qlik Talend Cloudの選択肢: Qlik社は、オンプレ製品であるQlik Replicate以外にクラウド上で動作する統合データ管理プラットフォームQlik Talend Cloud(QTC)も提供しています。このQTCを利用すると、Syniti Replicationの代替製品を検討する際に、単なるデータレプリケーションに留まらず、ETL/ELT機能、データ品質管理、データガバナンスといった機能を統合的に活用することが可能になります。データ転送後の複雑なデータ変換や加工もQTC上で実現でき、お客様のデータ活用を次のレベルへと引き上げます。また、初回フルロードの費用を抑え、差分データ転送に最適化された課金モデルを提供することで、コスト効率の良いデータ活用環境を実現します。
結論:未来を見据えたデータ戦略のために
データレプリケーションツールは、単なるデータの移動手段ではありません。それは、企業のビジネス戦略を支え、未来の成長を加速させるための重要な基盤です。Syniti Replicateのサポート終了は、Syniti Replicateをご利用中のお客様にとって、今後のデータ基盤戦略を再検討し、よりよい代替案、さらには、より強固なデータ連携システムを構築する絶好の機会です。
Qlik Replicateは、その高い互換性、リアルタイム性、運用の容易さ、そしてQlik Talend Cloudとの連携による拡張性によって、お客様の多様なデータ連携ニーズに応え、ビジネスの継続性と成長に貢献できるソリューションであると確信しております。
最適なデータレプリケーションソリューションの選択には、お客様の現在の環境、将来の目標、そして具体的なデータ要件を深く理解することが不可欠です。インサイトテクノロジー社では、お客様の特定のニーズに合わせたPoCの実施を通じて、Qlik Replicateの実際の性能とビジネス価値を実感していただく機会をご提供しています。
この機会にぜひ、貴社のデータ戦略の未来についてご検討いただき、Qlik Replicateがその一助となれるか、お気軽にお問い合わせください。