今回は、私の好きなスポーツ選手が復活した話をしたいと思います。
一般にスポーツ選手は、デビューしてから成績が徐々に上がっていき、全盛期を迎えた後に徐々に成績が下がり、引退していきます。全盛期の成績や長さは違えど、ほとんどの選手がこのような経過を辿ります。
しかし、マルク・マルケスという選手は違いました。一度は引退も近いように感じられていたものの、私が大好きな二輪の世界選手権、MOTOGPにおいて、今年、復活を遂げたのです。マルケスはスペインの選手ですが、MOTOGPという最高峰クラス(四輪でいうところのF1)に上がった2013年から、ホンダのマシンで毎年6勝、13勝、5勝、5勝、6勝、9勝、12勝を挙げ、参戦開始から7年で計6回のワールドチャンピオンに輝きました。
この時点で、伝説的なヴァレンティーノ・ロッシの7回に次ぐ成績を26歳で挙げて、近年のMOTOGPクラスでは史上最高のオートバイレーサーになるのは間違いないと思われました。
しかし、2020年の開幕戦で右腕を骨折し、手術をしたものの全休。2021年は復帰し3勝を挙げたものの右腕の骨折後の状態が悪く、2022年、2023年と1勝も挙げられませんでした。
それが、2024年にはイタリアメーカーのドゥカティ(Ducati)のプライベートチームに移籍し、3勝を挙げてランキング3位と復調。そして今年2025年は、ドゥカティのワークスチームに移籍し、12戦中6勝を挙げて年間チャンピオンが確実視されています。
マルク・マルケスは2020年から2023年の4年間で3勝しか上げられず、引退もささやかれている状態でした。しかし本人の「勝ちたい」というモチベーションからマシンを変更するなど、思い切った施策を経て再び「最強ライダー」に復帰しました。彼の勇姿を楽しみに、私は今年ももてぎの世界グランプリに観戦に行く予定です。
さて、復活したスポーツ選手として有名なのはやはり、ゴルフのタイガー・ウッズでしょう。タイガーも20歳でPGAツアーを勝利すると、マスターズトーナメントを最年少21歳で勝ちました。その後もコンスタントに勝ち星を挙げ、2009年までの14年間で72勝を挙げるなど、至上最強のゴルフ選手でした。
しかし、2010年に腰の故障に苦しみ数度の手術を行い、そこから2年間は勝利することができませんでした。2012年と2013年には計8勝と復活したかのように思えましたが、その後再び背中と腰を痛めてトーナメントへの出場すら難しい時代がありました。この2014年から2018年までの5年間は、ほぼ引退状態だったといってもいいかと思います。
タイガー・ウッズが凄かったのはここからです。5年間の引退状態から再再度の復活を遂げ、2019年にマスターズトーナメントという最高の大会で優勝したのです。当時、私もとても信じられない気持ちでテレビ観戦していたのを、鮮明に記憶しています。本当に凄い選手だと感動しました。
同じ2019年には日本で開催されたPGAツアーのZOZOチャンピオンシップでも優勝しています。2019年はコロナ禍もあり、タイガー・ウッズが日本でプレイし優勝したにも関わらず、無観客だったのが残念でなりません。彼はその後怪我の影響もあり優勝からは遠ざかっていますが、再再再度の復活があるのではと期待しています。
マルク・マルケスもタイガー・ウッズも3年以上の引退状態から復活できたのは、本人の努力や才能ももちろんですが、それだけではありません。彼らは充分過ぎるほどの資産を持っていますので、当然、食べていくために過酷な最高峰のステージで戦う必要はないのです。それでもなお、世界の舞台に帰ってきたのは、帰ってくることができたのはなぜなのか。その秘訣は、「勝ちたい」というモチベーションの、とてつもない高さにあったのではないでしょうか。私たちには想像もつかない、超一流を超えたレベルの選手達ですね。私も、人生のピークをもう一度作っていかなければと感じさせられました。
