インサイトテクノロジーは平成7年7月7日に設立し、令和7年7月7日をもって設立30周年という大きな節目を迎えることができました。
この30年を振り返ると、会社を続けていくことの難しさをあらためて実感します。ある調査によれば、起業から30年後も存続している企業は、1万社のうちわずか2社程度。東京商工リサーチのデータでも、倒産企業の平均寿命は23.3年とされています。
そんな中で、私たちが「老舗」と呼ばれる領域に足を踏み入れたという事実は、それだけ長い時間、社会に価値を届け続けてこられた証であり、大きな誇りであると感じています。
もちろん、この30年の歩みが、常に順風満帆だったわけではありません。
私自身がこの会社に関わるようになったのも、最初は“流れの中”からでした。強い決意があったというより、「声をかけてもらった以上は、期待に応えたい」――そんな思いで走り出し、気がつけば今日まで、がむしゃらに駆け抜けてきました。
特に心に残っているのは、約15年間にわたる自社製品のリリース停滞を乗り越えて迎えた、自社製品立ち上げの時期です。
この期間には、複数の外資系製品の取り扱いを始め、売上自体は伸びていました。
そんな中で、再度自社製品を作り、リリースをしたとき、会社の“魂”のようなものが、確かに動き出したと感じたのです。
最初は、売れませんでした。それでも、仲間と一緒に試行錯誤を重ね、少しずつ確かな形にしていきました。
苦しい道のりでしたが、あのときの経験こそが、「ものづくりの醍醐味とは何か」を教えてくれたと、今でも思います。
そして、あの時代があったからこそ、今のインサイトテクノロジーがあります。
私たちインサイトテクノロジーの社内には、新しい価値やプロダクトを生み出す土壌があります。
最近では、若手メンバーのアイデアから生まれた自社製品も増えてきており、未来に対して前向きな希望を感じさせてくれます。
「自由に創る」「失敗を恐れない」「やらない理由を並べず、まずは手を動かす」そうした文化が根づいていることは、インサイトテクノロジーの何よりの強みです。
私が常に大切にしている言葉に、「月に手を伸ばせ。たとえ届かなくても」があります。
これは、ロックミュージシャンのJoe Strummerの言葉で、不可能を承知で理想を追求する姿勢を表しています。これは、単なる目標達成だけでなく、その過程で得られる価値や姿勢を重視するという言葉です。私の大学時代に出会って以来、今でも自分の判断軸として心に残り続けています。
やる前から出来ない理由を並べて諦めるのではなく、まずは挑戦してみる。
その姿勢こそが、新しい価値を生み出し、未来を切り拓く力になると、私は信じています。
これから私たちが目指すのは、「データという世界を丸ごと扱える会社」です。
AIやクラウドが急速に進化する中で、データをどう扱うかが、企業の価値や競争力を左右する時代になりました。
単なる一製品や一機能にとどまらず、全体を俯瞰し、包括的に支えるプロダクトをつくり上げる。それが、インサイトテクノロジーが描くこれからの姿です。
会社の規模についても、1000人規模の組織になる可能性も十分に視野に入れていいかもしれません。
ただ、私が本当に大切にしたいのは、「誰と働くか」「どんな雰囲気で働くか」ということです。組織の大小よりも、人と人との信頼と尊重の上に成り立つ環境こそ、インサイトテクノロジーらしさの源泉だと思っています。
だからこそ、私は“人との関係性”を何より大切にしたいと考えています。
ときには一緒に飲みに行ったり、趣味を通じてつながったり。
そんな“余白”があるからこそ、チームに信頼が生まれ、日々の仕事にも良い循環が生まれる。そう信じています。
こうした雰囲気は、外資系企業とは異なるインサイトテクノロジーならではの魅力だと感じています。
この会社で「長く働きたい」「ここで何かを成し遂げたい」そう思ってくれる仲間が、これからももっと増えていってくれたら嬉しい。
社員が、心から誇れる会社にしていきたい。私は本気でそう思っています。
私自身も、次の10年、そしてその先へ――まだ誰も見たことのない未来に向けて、挑戦を続けていきます。
30年の歩みを支えてくれたすべての社員、パートナーの皆さま、そしてお客様に、心より感謝申し上げます。
