森田俊哉のデータは力なり

株式会社インサイトテクノロジー 
代表取締役社長 CEO

森田 俊哉
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IT国際収支における日本vs米国

新聞やネットでは、DX(Digital Transformation/デジタルトランスフォーメーション)という言葉が頻繁に飛び交い、ビジネスにおけるデータ活用がますます高度化・活発化してきました。AIやBIツールなどのIT技術の進歩、ビッグデータ(もはや古い言葉に?)に対応するデータベース・クラウドサービスの進化などにより、データの分析や活用の普及が進んでいます。

年始のニュースでは、アップルの時価総額が初めて3兆ドルを超えて東証1部上場企業の時価総額合計の半分近くになったと報道がありました。昨年の9月には、GAFA(Google/Apple/Facebook/Amazon)の株式時価総額が日本株全体の時価総額を上回ったという報道もあったように、米国のIT企業の勢いは増しています。これも、DXが後押ししているのは間違いありません。
このため、通信・コンピュータ・情報サービスの国際収支も、米国は大きな黒字を記録し1兆円を超えています。一方、日本は赤字幅が拡大し、逆に1.3兆円の赤字となっています。最新の報道では、日本の貿易黒字2.5兆円の半分にあたります。

一般社団法人国際貿易投資研究所サービス貿易(国際比較統計)
https://www.iti.or.jp/servicestat.htm
日米比較.png

グラフからもわかるように、米国が黒字化したタイミングと日本の赤字幅が増加したタイミングはほぼ同じで、GAFAが大きく伸びてきた時期とも重なります。さらに米国の情報サービスが強いのは、クラウドを初めとするプラットフォームを抑えていることがあります。国内のクラウドサービスのシェアは、AWS (37.4%) /Azure (Microsoft) (30.6%) /GCP (Google) (15.9%) で80%を超えて、日本は米国の黒字にも大きく貢献していますね。
政府の基幹情報システムにAWSが採用され、デジタル庁の管轄となった行政システムのクラウド化に使うシステムも、AWSとGCPの2社が、国内クラウドサービスに比較してセキュリティ対策を含めて「極めて」優れている、という理由で選定されました。

弊社は国内発の製品サービスを開発・提供しているので、このことは個人的に悲しい出来事でした。
圧倒的なシェアでグローバルに展開されたプラットフォームビジネスに対抗するのは難しいのは理解できます。AWSなどで提供されている、データに関わるサービスは素晴らしいものがありますし、国内の優秀な技術者もプロフェッショナルサービスとして従事しています。この状況を変えるのは難しいかもしれません。
国内の企業は、特定のITベンダーに依存して細かなニーズを満たしていますが、このようなサービスの受け方にも問題があるように思います。

このような日本のIT産業の課題は大きく、私たち1社でできることは小さい。ですがすぐにこの状況を変えることは難しくても、まずできることからスタートしたいと考えています。
海外から提供されるサービスを受けるだけでなく、日本からグローバルに展開するのが我々インサイトテクノロジーの目指す形です。
特にセキュリティ・データガバナンスに関わるサービスにおいて、海外のサービスが採用されるのは、「日本」としてもリスクがあると感じています。このあたりは、現在弊社の新しいサービスリリースの準備を進めていますので、期待してください!

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