Insight Technology

2019.12.05

AI Experience 2019 Tokyoへ行ってきました♪

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こんにちは!インサイトテクノロジー インサイトラボの松尾です。
今年のDataRobot社のカンファレンス『AI Experience 2019 Tokyo』には、弊社インサイトテクノロジーからも
数名が参加してきました。DataRobot社といえば、今年のdb tech showcase Tokyoで基調講演をしていただいた、
原沢さんがカントリーマネージャーをされている会社です。

今回、弊社の札幌にあるインサイトラボという機械学習関連の製品・サービス開発を行っている部隊の2名が
本カンファレンスに参加してきましたので、いくつかのセッションに対する所感などを含め、本ブログで紹介させていただきます!

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DataRobot社について

DataRobot社は、「AIの民主化」を掲げて機械学習を自動化するプラットフォームを提供する会社。DataRobot社が提供するプラットフォームには、世界をリードするデータサイエンティストの知識、経験、ベストプラクティスが組み込まれており、比類のないレベルの自動化と精度、透明性、コラボレーションを実現することにより、AI 主導型企業の取り組みを強力にサポートしています。(https://www.datarobot.com/jp/platform/)

はじめに

単にDataRobot社やDataRobot社が提供するそのプラットフォームのすごさをアピールするだけでなく、「機械学習技術によってビジネスの変革を如何にして成功させるべきなのか」「どうやってプロジェクトを進めていくか」「どうすれば成功するのか」など、実際の利用を念頭に置いたメッセージを強く発信しているように感じられました。今やツールを提供するだけでなく、データから価値を生み出すまでの流れ全てをカバーする企業であることを、強くメッセージとして発信していました。

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実際に我々も仕事で統計や機械学習を用いたビジネス的な課題解決に取り組んでいるものの、データ活用による現実の課題解決のプロセスの中で、完全に自動化できるところばかりではなく、ツールの導入だけでは課題を解決することができないということを感じていたため、とても納得のいくメッセージでした。

DataRobot Japan 原沢さん / シバタさん

2017年から始まり、3回目となる今回のAI Experienceは過去最大規模の開催となったとのことです。今年は「SUCCESS」がテーマ。AI活用をビジネスや組織にどのように浸透させ、企業がどのようにしてAIで成功して行くのかを中心としたセッション構成となりました。
発売当初から比べると、DataRobotの使われ方にも変化があり、当初はテスト失敗予測などからスタートしていたものの、だんだんマーケティングや営業、人事などにも使われるようになってきているそうです。日本は遅れていると日本人は思いがちかもしれませんが、実はDataRobotに関して言えば、日本は売り上げトップリージョンであるとのこと。他国では金融業界に売れているが、日本では産業・新薬業界にも売れているということです。

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AIの導入には、やはりテーマに何を選ぶかが重要となります。これまでは、苦労してテーマを選んでも、予測技術的な難易度のせいで実現不可能になることもありましたが、それはDataRobotが解決してくれるので、テーマ選びと成功していくことに専念できるようになってきています。DataRobotのような製品があると課題を見つける→解決方法を考える→運用するというサイクルが更に高速化していくだろうなと思わされる説得力がありました。

基調講演 滋賀大学 河本 薫 さん

滋賀大学 データサイエンス学部 教授 河本 薫 氏のセッションは非常に興味深いセッションでした。もともと大阪ガスで社内や関係会社向けのデータ分析をするチームを立ち上げ、現在滋賀大学のデータサイエンス学部に所属しているという来歴。現職では日本型企業において活躍できるデータ分析人材の育成をミッションとされており、ビジネスにおけるデータ活用が何故失敗するのか、成功するためには何をしなければいけないのかを、実戦的かつ豊富な経験に基づいて体系立てて話すセッションでした。
よく一緒にされてしまう「データサイエンティスト」をまず4種類に分類し、その中で「ビジネス支援型データサイエンティスト」に焦点を当て、その仕事をプロセス化。問題を解くところはDataRobotに任せられるとして、その前段を「見つける(分析問題の設計)」、後段を「使わせる(分析結果を受容させる)」と定義し、それぞれの段階についての説明していました。

「見つける(分析問題の設計)」の段階では、そのデータ分析テーマが成功に繋げることができるか評価(最初から失敗の壁にを越えられないと思われる「負け戦」でないかを事前に判断)する際に河本さんが実際に使っている設計シートを映しながら、データの分析と課題解決の間には「意志決定」が必要であること、そして意志決定の類型化と対応するデータ分析の役割について説明されました。ここでのポイントは、あくまで意志決定の類型化で、データ分析手法の類型化ではないということです。何に役立つか?ではなく、どういう意思決定に役立つか?を考える。データを分析して何か分かっても、意思決定が行える結果でなければ意味がないことを強調されていました。

「使わせる(分析結果を受容させる)」の段階では、「現場担当者にも分かる言葉と方法で進める」ことや「現場が払える手間の範囲で最適解を見つける」ことなどが重要だと説明されました。

そのほかにも、使ってもらって初めて成功の第一歩であることを、いくつかの例と一緒に紹介していました。

河本さんのセッションは、我々が日頃の業務の中でぼんやり感じていたことが、「型」として整理されていて、どの部分もとても参考になるものでした。最後に、業務を行うのはあくまで人間が主体であることも改めて認識させられました。

DataRobot Japan 松永さん、小島さん、緒方さん、河野さん

DataRobot社では、お客様がAIプロジェクトを成功させるため、カスタマーフェイシングデータサイエンティスト(CFDS)や、AIサクセスマネージャー(AISM)といった新しい職種を設けているそうです。それぞれ以下のような役割です。

  • CFDS:お客さんの課題を見つけて解くところまで
  • AISM:課題を理解し、運用までを一貫して、AIを理解したうえでプロジェクト管理を実施

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職種ができた背景として、DataRobotが広まりつつあった当初、機械学習が高度に自動化できただけではビジネスとしての運用につながらないという課題がやはりあったとのこと。そもそも、”機械学習はビジネスを助ける道具であること”を理解していないことが問題となることが多く、例えば、トラクターがほしいのにレースカーができても困るように、実際の使い方まで含めてサポートする必要があるということを解決する役割が、ますます重要になってきているということです。

その他たくさんの事例紹介

様々な企業の事例紹介のセッションも多くありました。企業は大なり小なり、独自に何らかの「予測」を行い、プロジェクトを進めているものの、ビジネス、IT、統計を全部できる人はいないため、データから探索的に知見や仮説を見つけるのは難しいという課題を持っている様子がわかりました。それを解決する方法としてDataRobotを使い始めてはいるものの、まだまだインパクトの大きな成果はこれからというような印象でした。新しいことを始めるときはスモールスタートで、少しずつ成功体験を積んで大きな成果につなげていくべきだという姿勢が、どの企業も共通していたように思います。

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刺激的?なパネルディスカッション

最後はこれからのデータサイエンス人材とそれを受け入れる企業についての話など、とても刺激的?なパネルディスカッションでした!データサイエンティストというと、やはり統計学などの専門性ばかりが重視されるイメージですが、コミュニケーション能力やドメイン知識が重要であるとの声が多かったのが印象に残りました。これって、いわゆるITにかかわる人に求められることと同じですね。そのベースのリテラシーとして、”データサイエンス的な考え方”を身に着けていく必要があると感じました。

さいごに

ユーザーのビジネスサクセスを目標としていることを明確にし、それが機能の追加やサポートの質の向上にも反映されていると感じました。我々自身も機械学習を用いた来客予測や異常検知など、データ分析に関するサービス・プロダクトの提供に関わっており、今の業務に直結するような内容も多くあり、とても刺激的なものでした。今回の参加で得た知見を、今後の取り組みにもぜひ活かしていきたいと思います。

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