2022年1月にこのブログで日本のデジタル赤字について書いたことがあります。
※参照:IT国際収支における日本vs米国
あれから3年ほど経過しましたが、先日、2024年の日本のデジタル赤字は6.6兆円であると発表がありました。前回ブログ執筆時の直近発表では、当時の為替レート(1ドル=110円)換算でデジタル赤字が約1.68兆円とのことでしたので、円安(1ドル=約150円)の影響を考慮しても、2024年のデジタル赤字の膨らみは4倍近くになっています。日本がDXに向かう中でAWS/Azure/GCPといった海外ITサービスの利用が進むほど、このデジタル赤字は膨らみ続けていきます。
しかし先日、新聞を見ていたら「旅行収支5600億円黒字 デジタル赤字打ち消す規模」という記事が載っているではないですか。コロナ禍が明けた後、訪日客による消費の伸びが大きくなり、今年2月のひと月における旅行収支が約5,600億円もの黒字を記録したそうです。確かにこの2月の黒字がそのまま12ヶ月継続すると約6.7兆円になりますので、デジタル赤字を打ち消してくれる規模です。
実際、訪日客の数が非常に増えているのは皆さんも肌で感じているのではないでしょうか。私は先日銀座のAppleストアまでの1キロくらいの道のりを徒歩で移動しましたが、途中ですれ違うのは外国人観光客ばかりでした。まるで海外にいるのかと思うほどです。
札幌や大阪への出張時のホテルでも同じことを感じます。宿泊客のうち海外の方が70%くらいで、宿泊料金も以前と比べると1.5倍くらいに跳ね上がっています。日本は島国ということもあってか、私が子供の頃は外国人を見かけること自体が珍しかったように思います。それが、特にこの1、2年で何とも急激に変化したものです。
さて訪日客の数がコロナ禍前の水準を超えている一方、日本から海外に旅行をする人はコロナ禍前の50%に留まっているそうです。円安の影響もあると思いますが、私を含めて日本人ももっと積極的に海外に出て行かないといけないと思いました。
デジタル赤字の件に話を戻すと、現在日本には国際的な競争力を持つクラウドサービスがありません。クラウド大手3社で世界シェアの66%を占めるというデータもあるなど、ここに割って入るのは容易なことではありません。これからも日本の企業がDXを推進するごとにデジタル赤字が大きくなると考えると、日本のIT企業としては何とも残念な気持ちにもなります。最近やっと、日本のガバメントクラウドでも、条件付きではあるもののさくらインターネットが選定されました。日本のクラウドサービスにも是非がんばってほしいと思っています。
「未来を創るデータ活用基盤を、日本に、世界に、実装する」というインサイトテクノロジーのビジョンを実現することで、デジタル赤字を少しでも減らすお手伝いができたら嬉しいです。
