「150」–信頼構築のマジックナンバー?

前回、山極京都大学前総長のインタビュー記事に書かれていたお互いに信頼できる関係を構築するためには、視覚と聴覚に加えて触覚、味覚、嗅覚といった共有しにくい感覚を共有することが重要というお話を書きました。

集団で何かを成し遂げるためには、お互いを信頼できるチームであることが必要となります。いわゆるチームワークですね。山極先生の同じ記事によると、チームワークが可能なサイズ(人数)は、人間の脳の容量に関係があるそうです。脳の容量が500ccから150万年前に600ccになり60万年前に1500ccとなったのに比例して、チームのサイズは、15人から50人へ増加し、1500ccとなった現代では、150名が信頼できるチームサイズだそうです。面白いデータです。
この150名はマジックナンバーと呼ばれ、名刺などを交換した人数ではなく過去の感覚を共有して顔を覚えている人の数です。これが何か困ったときに相談したり頼りにしたりすることができる人数とのことで、意外に少ないですね。

山際先生曰く、150人を超える人とコミュニケーションをとるために7万年前に言葉が生まれたそうです。確かに言葉が無ければ、視覚と聴覚に加えて触覚、味覚、嗅覚といった直接共有できる感覚も必要で、人数にも限界があります。
一方で最近では、SNSなどによる繋がりが150人を超える人は珍しくありません。
このようなツールを使えば、150人の壁を越えることはできるのでしょうか?
しかし、人と繋がることと信頼関係を構築することは違います。

人と信頼関係を構築するには、非常に大きな感覚を共有する「コスト」が必要で面倒なことかもしれません。SNSでの繋がりは、「コスト」も安く簡単に作ることができます。以前のブログでも書きましたが、最近はこの人間関係のコストに対して直ぐに目に見える「見返り」を求める傾向が強いと感じています。共有しにくい感覚を共有するという大きな「コスト」をかけにくい時代なのかもしれません。しかし、信頼関係という目に見えにくい「見返り」は、失うこともなく長期間かけて得られるものだろうと思います。私は、前職を退社しこれからどうしようかと考えていたときにたくさんの方々から「仕事大丈夫?」「仕事紹介するよ」と連絡を頂いたことがありました。本当に心から嬉しい出来事で、自分では意識していなかったのですが、たくさんの信頼関係を構築できていたんだと感じられました。

そういえば、自分のFacebookの友人の数も150人です。(たくさん申請頂きますが、基本的には直接顔を合わせたことある方、もしくは直接お会いするだろう方に限定しています。)Facebookの友人の多くは、基本的には実際に一緒に仕事で関わったり、食事をしたり、ゴルフをしたりする、直ぐに顔が思い浮かぶ人たちで信頼できる仲間です。偶然ですがマジックナンバーに近い人数ですね。

では、150人を超える会社などの組織では、どうすれば信頼できるチームが作れるでしょうか?
私は信頼関係の階層化が一つの答えだと思っています。自分と信頼関係のある人が別途信頼関係を構築しているケースは多々あり、辿っていくと150人を超えた信頼できるチームができるのではないでしょうか。このような信頼関係の連鎖を起こすことによって強い大きな組織を作ることが可能になります。
会社が50人の体制であれば、全員の顔や名前や家族構成、どこに住んでいるのかまでわかっているように思います。インサイトテクノロジーも100名を超える社員数になり、個人が持っている人間関係も含めると全員の顔を全て覚えて信頼関係を構築するのは、難しくなりつつあります。経験上会社の人数も100名の壁があるように感じますので、この春からは徐々にFace to Faceのコミュニケーションを復活させて行こうと考えています。
もちろん、美味しい食事やお酒も一緒だと良いですよね。

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山極先生のインタービュー記事を拝見した感想から語るシリーズとして、「オンラインだけでは築けないもの」という第1回のブログもぜひ以下URLよりご覧ください!
https://www.insight-tec.com/ceo-blog/20220413/

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