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株式会社千趣会|Insight Data Maskingで移行必要なデータのみのマスキングが手間をかけることなく実行できました

池本 修幸
株式会社千趣会
コーポレート本部 IT戦略部 IT企画・DX推進チーム 兼 システム管理チーム
池本 修幸
Insight Data Maskingの機密情報の自動抽出機能や特定セグメントのマスキング機能を利用することで、必要なデータのみのマスキングが手間をかけることなく実行できました。

千趣会では2022年1月に、オンプレミス環境で運用していたシステムをすべてAWS(Amazon Web Services)に移行した。この「脱ホストプロジェクト」で課題となったのは、個人データの完全な移行である。ECサイトの膨大な個人情報の移行漏れを防ぐために千趣会が検証データの作成に利用したのは「Insight Data Masking」だった。

「脱ホスト」で膨大なデータを分析できる
ITシステム基盤を構築

1955年設立の千趣会は、「ウーマン スマイル カンパニー」をビジョンに掲げ、「ベルメゾン」ブランドを中心としたカタログやEC通販などを展開。2010年代からは保育園事業など、女性のライフサイクルに寄り添ったビジネスを手掛けている。

かねてから千趣会では、購買データを基に顧客インサイトを分析し、顧客理解に努めている。ベルメゾンの会員層は30歳~50歳の女性が多く、嗜好性も多様だ。顧客ニーズを的確に把握し、嗜好性にあった商品を表示させたり、適切なタイミングでクーポンを発行したりといった付加価値の高いサービスを提供するには、膨大なデータを分析できるITシステム基盤が必須となる。千趣会でコーポレート本部 IT戦略部 IT企画・DX推進チーム 兼 システム管理チームで務める池本修幸氏は、「顧客ニーズの変化に応じてビジネスを展開するには、俊敏にITリソースを拡張できるクラウドファーストが大前提です」と語る。

千趣会では2013年からAWS(Amazon Web Services)の活用に取り組んでいる。2022年1月にはそれまでオンプレミス環境で運用していた「IBM Db2 for z/OS」を、すべてAWS上の「PostgreSQL」に移行する「脱ホスト」プロジェクトを実施した。池本氏はその背景を、「データセンターではメインフレーム上のシステムがパスタのように絡まったプログラムで、保守費用や新規機能の追加や変更に課題を抱えていました。経済産業省が警鐘を鳴らした『2025年の
崖』は、われわれにとっても解決すべき喫緊の課題だったのです」と説明する。

データ移行とマスキングをリアルタイムで実現する
「Insight Data Masking」

オンプレミスのデータベースからAWS上のデータベースにデータを同期するデータインテグレーションソリューションは、AWSとの親和性が高く導入実績の多い「Qlik Replicate」を採用した。さらに、データベースには顧客の個人情報が格納されているため、データのマスキングも必須となる。千趣会ではマスキングソリューションとしてインサイトテクノロジーが開発・販売を手掛ける「Insight Data Masking」を採用した。その理由について池本氏は以下のように説明する。

「Qlik Replicateとの親和性の高さと操作性の良さを評価しました。両ソリューションを組み合わせることで、データを移行しながらリアルタイムでマスキングが可能になります。これによりテスト時にパブリッククラウドに“生データ”を置かなくてよくなります。またU(I ユーザーインタフェース)もすべて日本語化されており、直感的に利用で
きると聞いていたので、作業に手間取ることもないと考えました」(池本氏)。

Insight Data Maskingはシステム開発やデータ分析、クラウド移行のためのデータマスキングソリューションだ。作成されたマスキングデータで本番環境と同等のアプリケーションの機能テストや性能評価テストができる。

Insight Data Maskingには、さまざまな機能が備わっている。具体的には機密性の高い情報の自動抽出機能や文字種/文字長を維持したままのマスキング機能、さらに特定箇所を指定してのマスキング機能などだ。たとえば、個人情報を含むデータ項目にラベル付けをし、ユーザーが定義した独自ルールでデータを抽出してマスキングするといったこともできる。また、電話番号などに対してセグメントを指定し、それぞれのセグメントに対してマスキング処理を指定するといったことも可能だ。池本氏は「Insight Data Maskingの豊富なマスキング機能は、テスト時に非常に役立ちました」と語る。

一般的に本番移行直前の全体テストでは、なるべく本番に近いデータでテストをすることが望ましいとされている。“本番に近いデータ”を利用するためには、膨大な件数のデータと様々な登録パターンのデータを用意する必要がある。かといって本番データには顧客の個人情報が包含されているため、さまざまな加工が必要だ。

しかし、自前で本番環境のデータを加工する場合には、さまざまな課題がある。テーブル間の関係性を維持しながらのデータ加工や、テーブルに格納されたデータの粒度を維持しながら加工するには一定のスキルを要する。さらに、大量のカラムへのマスキング処理には膨大な時間も必要だ。なにより、「どの部分を」「どのような形で」マスキングするかを決定し、その都度担当者がマスキングする作業は膨大な時間がかかってしまう。

こうした課題もInsight Data Maskingを使うことで、ほぼ解消される。池本氏は「Insight Data Maskingの機密情報の自動抽出機能や特定セグメントのマスキング機能を利用することで、簡単に必要なデータに対してマスキングを行なうことができました」と評価する。

マスキング漏れリスクの低減には
技術支援に長けたベンダーへの依頼も一考

今、多くの日本企業はクラウド活用に取り組んでいる。オンプレミス環境からクラウドへのシステムの移行を考えた際、当然クラウド上での十分なテストは欠かせない。しかし一方で、クラウド上の開発環境へ未加工の本番データを移行してテストデータとすることはセキュリティ上問題がある。本番データの全部または一部に何らかの加工をしてテストデータとして利用することが一般的だが、データの加工漏れが発生することで、「完全性」と「可用性」、そして「機密性」の3要素が脅かされることがあってはならない。その点、Qlik ReplicateとInsight Data Maskingを組み合わせれば、データ移行とマスキング処理の操作を一括で実行できるため、マスキング漏れのリスクが低減される。

さらに、データを移行する際に留意すべき点として池本氏がアドバイスするのは、ソースデータベースのデータが“整っている”ことだ。不正なデータやラベリングができない古いデータなどが混在していると、移行漏れやマスキング漏れの原因になる。

「ツールの性能を十分に発揮するためには、PoC(概念実証)を実施し、期待どおりの結果が出るかどうかを確認する必要があります。エンドユーザーだけでこうした作業を実行するのが不安な場合には、技術支援に長けたベンダーに依頼するのも有効な手段でしょう。」と池本氏は結んだ。

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