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サッポロホールディングス株式会社|従来1システムあたり1年を要していたデータ連携プロセスを大幅に改善し、開発コスト約80%削減、開発期間75%短縮を実現

サッポロホールディングスは、中期経営計画でDXを重要施策に位置付け、全社でのデータ利活用を推進している。しかし基幹システムのデータ連携には膨大な調整コストと作業が伴い、「1システムあたり1年」という深刻なボトルネックが立ちはだかっていた。こうした課題の解決に向けて同社が採用したのが、CDC技術を活用した「Qlik Talend Cloud」と、「Oracle DB」に精通したインサイトテクノロジーによる導入支援である。

「こんなに簡単に?!」開発コスト80%削減・期間75%短縮、サッポロHDの次世代データ統合基盤をQlik Talend Cloudで実現

DX企画部 データ戦略グループ Chief Data Engineer 小林 史幹 DX企画部 データ戦略グループ 田宮 慎理

150年企業が挑むデータ統合基盤の構築

1876年の創業以来、ビールを中心に酒類・食品飲料・不動産の3事業を展開するサッポロホールディングス株式会社(以下、サッポロ)。「サッポロ生ビール黒ラベル」「ヱビスビール」をはじめとする国民的ブランドを持つ一方、北米を中心に約45カ国でグローバル展開を進め、日本屈指の酒類メーカーとして市場を牽引している。

同社は2023年からの中期経営計画で、事業成長とサステナビリティを支える経営基盤の強化を掲げ、その重点活動の一つに「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」を位置付けた。

同社 DX企画部 Chief Data Engineerを務める小林 史幹氏は、「DX企画部のミッションは、経営から現場の社員までがビジネス環境を迅速に分析し、的確な意思決定を行えるような基盤を構築することです。そのためには、大量かつ多様なデータをシームレスに扱える柔軟性と拡張性を備えたデータ基盤が必要でした」と説明する。

DX推進を阻む基幹システムのデータ連携問題

しかし、その前には大きな壁があった。それが基幹システムのデータ連携である。同社DX企画部 データ戦略グループ アシスタントマネージャーの田宮 慎理氏は「一番の課題は『データのサイロ化』でした。経営に関わる重要なデータは各部門の基幹システムに格納されており、それらをいかに統合・連携するかが課題でした。基幹システムへの負荷を抑えながらリアルタイム性を担保しつつデータを連携させることが難しく、大きなボトルネックになっていました」と振り返る。

当時、データ更新は1日1回の夜間バッチ処理に限られていた。また、データ連携にはルール整備や連携方針の策定が必要で、さらにシステムやテーブルごとに個別発注しなければならなかった。そのため、マスター系の小規模データは連携できても、トランザクション系の大規模データは手つかずの状態が続いていたのである。

田宮氏は当時の状況を「IT部門・外部ベンダー・業務部門の三者間の調整だけでも膨大な手間が発生していました。場合によっては1システムの連携に1年近くかかることもありました。事業部門からは需要予測やPOSデータ活用など具体的なニーズが寄せられていたのですが、十分応えられない状況が続いていました」と説明する。

こうした課題を踏まえてDX部門が描いたのは、CDC(Change Data Capture)を活用した新しいデータ基盤の構築だ。CDCは基幹システムの変更データをログから検知し、システム改修を行うことなく自動的に連携先へ同期できる仕組みである。

「CDCであれば、基幹システムを改修せずにデータを自動同期できます。ただし、データベースに直接接続する仕組みである以上、セキュリティポリシーやネットワークポリシーの観点からIT部門の承認を得る必要があり、導入には高い壁がありました。それでも得られるメリットの方が大きいと判断し、製品選定の結果たどり着いたのが『Qlik Talend Cloud』でした」(小林氏)

Qlik Talend Cloudで実現した新しいデータ連携基盤

Qlik Talend Cloudは、データの連携・品質管理などの機能をクラウド上で提供する統合型のデータ基盤ソリューションだ。CDCによるリアルタイムデータ連携や、多様なデータソースとの接続機能を備え、企業全体のデータ統合と利活用を支援する。基幹システムへの負荷を最小限に抑えながらデータをリアルタイムで同期できるのが特徴だ。

Qlik Talend Cloudを選定した理由について田宮氏は「経済合理性と学習コストの低さ、そして内製化の実現可能性です」と説明する。

当初比較していた製品は従量課金だった。一方、Qlik Talend Cloudは定額制だ。拡張を前提とすれば定額制に軍配が上がる。また、コーディングが必要なツールであれば、それだけで学習期間や相応のスキルが求められるが、Qlik Talend Cloudはノーコード・ローコードで操作できる。「データベースに関する前提知識は必要ですが、操作の部分では特に障壁なく進められました。誰かが異動しても運用が続けられる持続可能な基盤の実現に、Qlik Talend CloudのUIの使いやすさが大きく寄与すると判断しました」(田宮氏)。

導入にあたってはパートナーの力を借りることになった。当初は完全内製での導入・運用を構想していたが、Qlik社から「完全内製で導入している事例はない」と聞き、方針を転換。そこで紹介を受けたのが、導入・運用支援の実績が豊富なインサイトテクノロジーだった。サッポロのCDC導入対象となる基幹システムは、その大半が「Oracle Database」で構成されている。Oracle DBに豊富な知見を持つ同社の存在は、その点でも大きな安心材料となった。

導入までの道程は順調だった。DX部門とIT部門の合同で、基幹システムへの負荷検証と運用の持続可能性の確認を主な目的にPoC(概念実証)を開始。実質1ヶ月で検証は完了した。小林氏は「データベースへの負荷は想定以上に小さく、結果は期待以上でした。ユーザーインターフェース(UI)もわかりやすく、運用の持続可能性もクリアになりました」と評価する。

また、初期環境構築でも、インサイトテクノロジーのきめ細かい支援が役立った。特に基幹システムとQlik Talend Cloudの間でデータを中継する「Qlik Data Gateway」の構築にはLinuxサーバの管理・設定が必要であり、DX部門にとって不慣れな作業だった。

田宮氏は「不安要素がある中でスムーズに進められたのは支援のおかげです。その場では解決できない技術的な課題もインサイトテクノロジーがQlik社とのネットワークを生かして迅速に対応してくれました」と振り返る。

「10分の1の工数」が示す手応え ー 全社データ活用へ向けた次の一手

Qlik Talend Cloudの導入効果は如実に表れた。従来方式でのデータ連携構築と比較すると、開発コストは約80%削減、開発期間は75%短縮を実現している。ただし、数字以上に現場の実感としての削減効果は大きいと小林氏は言う。

「以前は1つのインタフェースを作るのに何度も打ち合わせを重ねてレビューし、費用を出すための社内手続きもして……といった諸々を考えると、10分の1くらいになっているイメージです」(同氏)。

業務部門レベルでも効果が出始めている。リアルタイムデータを活用した経営判断や意思決定にはまだ至っていないものの、日次分析では毎日のデータ抽出・加工作業が不要になったという。中でも具体的な活用事例として田宮氏が挙げるのが、在庫管理だ。最新の在庫状況と将来の出荷計画という2つのデータを組み合わせることで、精度の高い在庫調整が可能になりつつある。小林氏も「データの鮮度が求められる領域で、大きく寄与し始めています。リアルタイム連携ができる仕組みは整えました。今後は投資対効果を見極めながら適用領域を明確にし、優先順位をつけて展開していきたいです」と、その展望を語る。

さらにその先に掲げるのが、全社的なデータの民主化だ。データカタログの整備やメタデータの充実を進めながら、データガバナンスと民主化を同時に推進している。基盤を固めた今、次のステップは利活用を全社に広げていくことだ。

「Qlik Talend Cloudで横串を刺しながら、各部門を支援できる体制を作っていきたい。インサイトテクノロジーと連携しながら、近い将来に実現できると確信しています」(田宮氏)。

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