ちょうど2年前に「カーボンニュートラル燃料が示す未来」というブログ記事を公開しました。全ての自動車が電気自動車(EV)になるのは寂しいので、エンジン車の販売が継続できるよう、カーボンニュートラル燃料が主流になっていってくれれば、という内容です。そのとき、多くの国でEVの導入が推進されており、日本でも少なくとも2035年までに新車販売を100%EVにすると決まっていると書きました。
そんななかで、昨年イギリスの高級自動車メーカーのジャガーがブランドイメージを刷新すべく、これまで販売してきたガソリン車全モデルを廃止し、EVメーカーへの転換を実施しました。
しかしその結果、ジャガーの2025年のある月の欧州販売台数は49台で、前年同期比97.5%減という壊滅的な数値になっています。さらに年間の販売台数も2018年の18万833台から2024年には2万6861台と、6年間で85%も減少してしまいました。
このように一気にEVに切り替えたのはジャガーだけで、対照的にBMWやベンツなどは慎重に転換を進めているようです。また、アウディが一部EVモデルの生産を打ち切ったりするなど、ここ最近はEVへの勢いは失われているようです。
元々高級車に乗る人たちはエンジンのフィーリングを好んでおり、高いガソリン代も苦にしていません。それに加えて高価格・充電施設の不足・修理や保険代金の高さ・長い充電時間・リセール価格の暴落など、EVの欠点が浮かび上がった結果のようです。
欧州だけでなくアメリカでも、トヨタを始めとする日本メーカーが進めているハイブリッドカーが大きく売上を伸ばしているそうです。ハイブリッドカーはEVの欠点を多くの点でカバーしているのも事実で、EVの販売台数が前年割れの可能性があるなか、50%以上売上を伸ばしているというデータもあります。
ジャガーの経営者は、大幅に失速している販売台数も予測の範囲内であり、これからまだ巻き返すと強気な施策を継続するようです。しかし、トヨタ自動車の豊田章男会長による「EVの市場シェアは最大でも3割、残りはハイブリッド車など」という予測の方が当たっているように思えます。
トヨタという日本のメーカーを筆頭に、ハイブリッドカーなどのエンジンを搭載した車がこれからも使われていってくれれば、エンジン車を愛好する一人としてこれほど嬉しいことはありません。
