以前このブログで、人間は短時間で多くのことを忘れてしまうという記事を書きました。忘れるという行為は一見マイナスなようですが、実は生物的にはデメリットばかりではないのです。では、AI(コンピュータ)は忘れるということはないのでしょうか。さっそく、ChatGPTと壁打ちしてみました。
AIでは、忘れるということは、考慮されていないのでしょうか?
最近のAI研究では、「意図的に忘れるAI」の設計も注目されています。たとえば:
- 忘却アルゴリズム(e.g., continual learning の中での selective forgetting)
- フェデレーテッドラーニングでの期限付きデータ保持
- ユーザーからの「削除要求」への対応
つまり、「忘れないAI」が理想とは限らないという認識が広まりつつあります。
「AIは忘れないが、それは本当に良いことなのか?」という視点は、現代のAI倫理や設計思想においても、非常に重要なテーマです。
以下に、AIが「忘れない」ことによる良い点と悪い点を対比してご説明します。
AIにおいて忘れることの良い点と悪い点を教えてください
- AIが「忘れない」ことの良い点
1. 正確な記録と再現性
・AIは膨大なデータを正確に記憶し、必要なときに素早く取り出せます。
・人間のように「記憶があいまいになる」「思い出せない」といったことがなく、一貫性と再現性の高い応答が可能です。
2. 学習履歴や過去の対話を保持
・過去のやりとりをすべて記録できるため、文脈を踏まえた応答が可能になります。
・医療・法律・教育など、ミスが許されない分野ではとても有用です。
3. 大量データの長期活用
・AIは、人間の脳では到底処理できない量の情報を整理・分析・保持できます。
・データベースやアーカイブ用途にも最適です。 - AIが「忘れない」ことの悪い点
1. プライバシーと倫理の問題
・ユーザーの過去の行動や会話、データをすべて覚えていることは、監視やプライバシー侵害のリスクを伴います。
・「忘れられる権利(Right to be Forgotten)」が重視される背景でもあります。
2. 文脈の更新が難しい
・情報が常に最新とは限らず、古い情報や過去の偏見に基づいて判断を下してしまう危険性があります。
・人間なら「状況が変わったから考えを変える」ことができますが、AIは明示的にアップデートされない限り古い知識を保持し続けます。
3. 冗長情報やノイズを除去できない
・不必要なデータをすべて覚えていると、有用な情報が埋もれてしまう可能性があります。
・「何を捨てるか」ができないと、効率的な思考や判断に支障が出ます。
4. 柔軟性・創造性に欠ける
・忘却を通じた「抽象化」や「再構成」ができないため、創造性や人間らしい直感には劣る面があります。
AIの「忘れない」特性は正確性や信頼性を高める一方で、柔軟性や倫理の観点では問題になることがあると認識されているようです。これからのAI設計には、「覚えるべきこと」と「忘れるべきこと」を区別できる賢さを持たせる必要があるのかもしれません。
対比まとめ
特性 | 人間 | AI |
---|---|---|
忘却 | 自然に起こる、選択的 | 基本的に忘れない(意図的に消さない限り) |
メリット | 柔軟性・適応力・感情制御 | 精度・再現性・長期保持 |
デメリット | 忘れてはいけないことも忘れる | プライバシーリスク・文脈の古さ |
