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オイシックス・ラ・大地株式会社|IT基盤のクラウド移行におけるリスクをインサイトテクノロジーが低減

子安 正史
オイシックス・ラ・大地株式会社
システム本部 システム基盤部 SREセクション
子安 正史
インサイトテクノロジーは何度もわれわれの窮地を救ってくれたビジネスパートナーです。

可用性向上や運用コストの削減を目的に、IT基盤をクラウドに移行する企業は多い。その際に課題となるのが、データベースやアプリケーションの移行作業だ。移行後もアプリケーションが正しく動作するよう確認することは欠かせない。コストを考慮しつつ、DBに実行されるSQLの動作確認を抜け漏れなく行い、移行先のデータベースでも“きちんと”稼働するかを迅速に確認する手段はないか。オイシックス・ラ・大地は「Insight Database Testing」を活用してこれらの課題を克服した。成功要因として、「現場と同じ目線で支援してくれたビジネスパートナーの存在」も大きかったという。

テストの網羅性を重視して移行リスクを低減

環境や安心安全に配慮した食品のEC宅配事業を手掛けるオイシックス・ラ・大地は「つくった人が自分の子どもに食べさせられる食材のみを食卓へ」をコンセプトに、2000年より有機野菜を中心とする食品宅配サービスの「Oisix」を開始。現在は「Oisix」ブランドに加え、自然派食品の「大地を守る会」や、有機・低農薬野菜/無添加食品の「らでぃっしゅぼーや」などの運営も手掛けている。

また、近年では必要な食材を必要な分だけパッケージ化したミールキットの開発や、食のサブスクリプションサービスなども展開。各ブランドで不揃い野菜を加工してアップサイクルをするなど、「フードロスゼロ」や「カーボンニュートラル」を目指すサステナブルリテール(持続可能型小売業)の実現にも取り組んでいる。同社の企業理念とビジネスモデルに共感する消費者は年々増加しており、2022年3月末時点での会員数は約35万人に達する。

Oisixでは現在、さらなる顧客体験の向上を目指す「DX(デジタルトランスフォーメーション)改革プロジェクト」が進行中だ。市場のニーズをいち早く把握し、必要なサービスを迅速に提供する。そのためには柔軟にスケールアウトできるIT基盤が不可欠である。

そのような背景から、OisixのIT基盤をAmazon Web Services(以下、AWS)上に集約するプロジェクトを実施している。基幹システムやECサイトなどのデータベースをすべてAWS上に移行し、柔軟なスケールアウトや運用管理の効率化による生産性向上を目指す。オイシックス・ラ・大地 システム本部システム基盤部でSREを担当する子安正史氏は、「ビジネスの成長を考えると、オンプレミス環境ではストレージの拡張など、ハードウェアリソースに限界を感じていました」と説明する。

今回のプロジェクトは、オンプレミス環境からの移行だけでなく、国産のクラウド上で運用しているサーバー群も移行の対象としている。

データベースを移行するうえで課題となるのは、膨大なデータ量とSQLの互換性である。大量のデータをネットワーク経由で移行すると通信帯域の問題から時間がかかり、その分システムの停止時間は長くなる。また、移行と同時にデータベースのバージョンアップを行ったため、オブジェクトのメタデータに差分が生じてしまったり、使えない機能やパフォーマンスが発揮できないクエリが出てきたりする懸念もあった。

さらに子安氏は、「データベースの移行でもっとも重要視したのはテストの網羅性でした」と語る。

Oisixは多岐に渡るサービスを展開しており、ECサイトや基幹サービスなどさまざまな機能を提供している。そのような環境ではテストの漏れが想定される。移行リスクを軽減するためにも、網羅性の担保は最重要事項だった。

「このような課題をインサイトテクノロジーのコンサルタントに相談したところ、『Insight Database Testing』を提案していただいたのです」(子安氏)

本番環境からSQLを自動キャプチャーし、
移行先での作業を効率化

Insight Database Testing は、リレーショナルデータベース(RDBMS)やアプリケーションの移行を支援するソリューションだ。本番環境でアプリケーションが発行するSQLを自動キャプチャし、対象のデータベースに対してテスト実行することで、異種RDBMSへの移行やデータベースのバージョンアップ時に課題となるSQLの互換性評価やSQL文の修正を支援する。「Oracle Database」をはじめ、「SQL Server」「PostgreSQL」「MySQL」といったデータベースに対応している。今回Oisixではオンプレミスの「OracleDatabase 11.2.0.4」から「Amazon RDS for Oracle 19c」への移行時のテストにInsight Database Testingを導入した。

子安氏は「Insight Database Testingは本番環境からSQLを自動キャプチャーして利用できるので、移行先でのテストの網羅性は高く、エラーの修正も効率化できると考えました」と語る。

Insight Database TestingはSQL文に埋め込むバインド変数も取得する。移行元のデータベースにはバインド変数が1000も超えるSQLがあったため、もし手動で実行すると、大変な作業になる。こうした点からもInsight Database Testingの導入を決めたという。

実際の移行検証は、子安氏とインサイトテクノロジーのコンサルタント2名が担当した。その作業の流れはこうだ。

最初にInsight Database Testingの機能で、移行元データベースに対してアプリケーションが発行するSQLを収集する。InsightDatabase Testingでは独自のダイレクトメモリアクセス技術が備わっており、本番環境の移行元データベースに大きな負荷をかけることなくSQLを収集できる。そのうえで、Insight DatabaseTestingが移行先データベースに対してSQLを発行し、互換性テストを実施する。

データベースの負荷テストにもInsight Database Testingを利用した。実は当初オープンソースの負荷検証ツール「JMeter」を利用したが、負荷や網羅性等の要件を満たした負荷をかけることができなかった。Insight Database Testingで取得したSQLを負荷テストに利用することで、データベースに負荷をかけながらアプリケーションテストを行うことができたのである。

インサイトテクノロジーは
何度も窮地を救ってくれたビジネスパートナー

テストの網羅性の観点からInsight Database Testingを選択したが、当初は想定していなかった効果もあった。それが「テスト結果の可視化による作業効率の向上」である。

Insight Database TestingのUI(ユーザーインタフェース)はシンプルかつ直感的に操作できるようにデザインされている。子安氏は「SQLの具体的な発行数や、移行後の環境での成功/エラーの比率なども表示されます。たとえば、エラー率が2%であれば、改修箇所が少ないといったことも直感的にわかり安心感を得られました。アプリケーションをテストする前にエラー部分を把握しておけば、それを開発メンバーに共有して事前修正を依頼でき、結果として作業効率が上がるのです」と説明する。

なお、Insight Database Testingは「AWS Marketplace」から起動が可能。「説明書どおりにインストールしたら環境構築が完了します」(子安氏)とのことだ。

実は今回の移行プロジェクトで子安氏が大きく評価していることとして、インサイトテクノロジーの支援体制もある。作業中、エラーでつまずいた時に、Insight Database Testingの開発担当者に直接質問できる機会を設けたり、連絡すれば電話やZoomですぐに対応してくれたという。

「かねてからインサイトテクノロジーとはお付き合いがあり、今回のプロジェクトでも移行対象の洗い出しから棚卸し、バックアップ方式の選定に至るまで、移行全般にわたる作業も支援してくれました。移行作業でも『そのやり方が本当に最適なのかどうか』を我々オイシックス・ラ・大地のエンジニアと同じ目線で考え、やらないほうがよいことはきちんとダメだと指摘してくれました。インサイトテクノロジーは何度もわれわれの窮地を救ってくれたビジネスパートナーなのです」と子安氏は語った。

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