Insight Technology

2020.06.24

企業におけるAI活用のすすめ

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2010年ごろから始まった第3次AIブームでは、2014年にはオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が発表した「THE FUTURE OF EMPLOYMENT」でAIが人間の職を奪うのではないか、また、米国の未来学者で人工知能研究の世界的権威でもあるレイモンド・カーツワイル氏が2005年に提唱した「シンギュラリティ(技術的特異点)」が起こり、AIが人間の知性を超えてしまうのではないかというAIの飛躍的な進化が話題になりました。2020年となり、AIの実用化の話も頻繁に聞くようになりましたが、実際にAIを活用している企業はどれくらいあるのでしょうか。

国内企業のAI活用の実態

財務省の調査結果によれば、2018年の国内企業のAI活用の割合は、10.9%と1割程度しか使われておりませんでした。さらに、中堅・中小企業という単位で見れば5.6%と、ほぼ使われていないというのが実情です。

図1:国内企業のAI活用状況
post3-1.png出典:財務省(2018)「財務局調査による「 先端技術(IoT、AI等)の活用状況」

さらに日本だけではなく海外の状況も調べてみると、令和元年版の情報通信白書の記載されている、ボストンコンサルティンググループが2018年に行った調査7か国(中国、アメリカ、フランス、ドイツ、スイス、オーストリア、日本)のAI利用状況の調査結果によれば「一部の業務をAIに置き換えている」と回答した企業の割合は11%でした。

この2つの調査結果からみると、現状では世界的に見ても、AIを活用している企業はまだ1割程度しかいないようです。

AIの民主化とは

「AIの民主化」というキーワードが雑誌やIT系のWebサイトで散見されます。この「AIの民主化」はAIを誰もが使えるようにするという考え方ですが、これは2017年3月に、当時、米国スタンフォード大学教授からGoogle社に転じていたAI研究者のフェイ・フェイ・リー氏によって最初に提唱されました。その後は、Google社のみならず、Amazon社、IBM社、Microsoft社など様々なIT企業がこの概念を掲げています。

上記に挙げたIT企業のクラウドサービスには、予測、テキスト解析、翻訳、画像解析、音声アシスタントなど様々なサービスが用意されています。これらのサービスを利用すれば、AIを使って何らかの処理を行いたいと考えた場合、一から機械学習のアルゴリズムをプログラミングする必要はありません。利用者はデータを用意し、必要なサービスを選択し、実行して結果を得るだけで済みます。さらにクラウドなので、ハードウェアを用意する必要もありません。

プログラミング経験があるエンジニアの方であれば、AIを活用することなんて簡単じゃないかと考えるかもしれません。しかし、ビジネスの現状を分析し、課題を発見し、課題解決につながる要因を見つけ出すためには、プログラミング能力だけでは足りません。ビジネススキルも必要です。本物のデータサイエンティストのように、テクノロジーとビジネスの両方の知識とスキルを待っている人ならば、これらのサービスを直ぐに活用することができるでしょう。あなたの企業にはデータサイエンティストは居ますか?また、すぐに準備はできますか?

AIを民主化するためには特別なスキルを持ったスペシャリストではなく、一般の従業員が利用できるようにならなければ真の民主化とは言えません。つまり、これまで多くのITのテクノロジーがそうであったように、普段利用している業務アプリケーションにAIが組み込まれ、これまでと同様な知識とオペレーションで利用できることが求められるのです。

AIを利用したい分野とは

全ての分野やアプリケーションにAIが必要なわけではありません。AIを導入することで、何らかの改善が得られ、それがビジネスに最大限に寄与できる分野に利用しなければ、ITのROIは悪化してしまいます。残念ながら無料でAIを利用できるわけではありませんので、事前に精査することが非常に重要です。

図2に示したのは、独立系のIT調査/コンサルティング会社である株式会社アイ・ティ・アールが行った、AI技術の活用に対して期待する効果の調査結果です。企業における、AI技術の活用に対して期待する効果の調査結果です。これを見ると、最も多く選択されたのは「人為ミスや事故の防止」で、次いで「経営に関わる状況判断や予測の高度化」でした。最も少なかったのは「既存事業の売上げ向上」で、次いで「新製品・新サービスの創出」でした。このことから、企業がAIの利用用途として望んでいるのは、売上の向上というよりはコストやリスクの軽減と言えそうです。

図2:AI技術の活用に対して期待する効果(複数回答)(N=2811)
post3-2.png出典:ITR「IT投資動向調査2020」

Insight Asirという選択

データベース関連の製品イメージが強いかもしれませんが、実はインサイトテクノロジーでもAI関連のビジネスを行っています。2014年に札幌にR&Dを設立し、4年間のステルス期間を経て、2018年より、2社のアプリケーションに機械学習モジュールの提供をしてきました。

具体的には、時系列データに特化した異常検知モジュールであるInsight Anomaly Detectorと、過去データを元に様々な予測ロジックに対応した予測モジュールであるInsight Data Forecasterの2つです。

この2つの機械学習モジュールに、コンサルティングや、他社製品とのインテグレーションなど、アプリケーションとして製品化するために必要なサービスを全て含めてご提供するのが、AIの真の民主化を促進するInsight Asirというサービスになります。

Insight Anomaly Detectorは、すでに株式会社アイ・アイ・エムの予兆予測サービス「LUiNa」(ルイナ)に組み込まれ、お客様のデータセンターの安定稼働に貢献しています。Insight Anomaly Detectorは時系列データを分析し、これまでにあったような単純な閾値による異常値ではなく、いつもとは違う『データのパターン』を検知します。これによって、設備のサイレント故障を発見したり、機器の障害監視を行い、故障を予知することで、メンテナンス工数の削減をしたり、損害の発生を回避することに利用できます。

Insight Data Forecasterも、すでに株式会社EBILAB の来客予測AIに組み込まれています。EBILAB社の発祥でもある伊勢の「ゑびや大食堂」では、95.7%の予測率を挙げ、仕入れや人員の最適化にも大きな貢献をしました。
また、EBILAB社は、Microsoft社のCEOであるSatya Nadella氏の講演で紹介され、町の大衆食堂がAIを活用して大きな成果をあげていることは、正にAIの民主化の例であるとして、大々的に取り上げられました。

この2つのモジュールは、ITR社の調査にあるように、企業がAIの技術の活用に期待する効果の上位2つである、『人為ミスや事故の防止』と『経営に関わる状況判断や予測の高度化』を実現化するものです。このように、インサイトテクノロジーは、高いデータベース技術を利用したデータ活用のご提案だけでなく、企業の真のAI民主化の実現をサポートします。

自社で開発され利用しているアプリケーションにAIの組み込みを考えている方だけでなく、まだ実現方法はイメージできていないが「AIで解決したい課題がある」「ビジネスノウハウとデータはあるがAIの活用方法が分からない」という方も、ぜひInsight Asirという選択肢をお考え頂ければと思います。

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